コミュニケーターとしての初日本出張

こんにちは!NGUYEN XUAN TRA(チャ)とTRAN THI THAM(タム)です。 ベトナム拠点のコミュニケーターチームに所属しているメンバーです。 今回コミュニケーターとして4週間日本に出張したので、そこで体験したことや感じたことを報告します。

ベトナム拠点とコミュニケーターについての紹介

本題に入る前に、サイボウズのベトナム拠点と、コミュニケーターという仕事について簡単に紹介します。

ベトナム拠点はベトナムのホーチミン市に置かれています。 blog.cybozu.io

ベトナム拠点はガルーンの開発を中心に、kintoneカスタマイズもしています。 私たちコミュニケーターの主な業務は、日本側メンバーとベトナム側メンバーの間に入って、通訳・翻訳することです。 ベトナムの開発チームでは日本語ができる人はそんなに多くはいないので、このようなコミュニケーターのチームが生まれました。

コミュニケーターは、普段の仕事でいつもベトナムオフィスを走り回りながら、テレビ会議を通じて、通訳するのが多いです。日本人メンバーとの直接のやり取りはほとんどありません。 そのため、日本メンバーとの関係をもっと深めることを目的として今回の出張を計画しました。 さらに、この機会にコミュニケーターの今後のキャリアのため通訳以外の勉強をすることも同時に計画に含めて、いつもの一週間ぐらいの出張よりちょっと長めに滞在することになりました。

業務体験

新設された翻訳チームの今後の見通しを学ぶ

最近、サイボウズでは「翻訳チーム」という新しいチームが設立されました。 このチームは、社員がWebサイト・資料などの翻訳で困ったときに依頼・相談してもらえることを目指しています。チームによる調査の結果、社員からの翻訳の依頼がかなり上がってきていることが分かっています。 翻訳チームは、それらの依頼について社内で対応することと外注することを考えていますが、所属しているメンバーがほとんど兼務なので、リソースが不充分な状態です。 社内対応の場合、私たちにも対応できる依頼がありそうです。現時点では、どのような形で貢献できるか、また工数が足りるかどうかもわからないのですが、コミュニケーターとしての翻訳経験を生かして少しでも力を尽くしたいと思うので、翻訳チームの状況については今後も情報収集していきます。

グローバルのコミュニケーションの要望について

サイボウズでは一つの部署やチームでも複数の拠点を跨いで、一緒に仕事をやることがあります。拠点は日本国外(アメリカ、中国、ベトナムなど)にもありますが、日本の本社からの情報はほとんどが日本語で共有されているので、拠点間でコミュニケーションをとるときには多少困っているメンバーもいます。

このため、どこの拠点にいても全員に平等に情報(戦略会議の議事録とか)を共有できるように、英語化が進められつつあります。

私たちは今回の出張で日本に来たタイミングで、これに関して人事担当者から話を聞かれました。コミュニケーターの立場から見て、他拠点とやり取りするときに共通の言語があった方がいいと思うかという話です。 チャとタムはそれぞれに違う意見を言いました。

チャは日本語が大好きで、日本語の勉強に集中していたので、英語より日本語の方が得意です。なので、共通の言語を英語にするのはあまり嬉しくないと思いました。英語は母語ではなく、伝えたいことを完全に伝えきれないので、話がややこしくなるという懸念点もあります。

文章だと、母語ではなくても伝えたいことをじっくり考えながら書くし、分からなくても調べながら読むことができるので、だいたいの意味が伝わります。それに対して、口頭で英語を話すと、ベトナム人と日本人の発音の癖に違いがあり、お互いに聞き取れなくて苦戦してしまうときもあるので、やっぱり日本語で話したいと思います。

逆にタムは、みんなが共通の言語として英語で話すようになるといいなぁ~と思います。言葉は通訳すれば伝わりますが、言葉の他にも伝えたい、その瞬間の気持ちがあるからです。例えば、日本・上海・ベトナムの3拠点で会議するときは日本語とベトナム語の通訳をします。上海には日本語が上手なメンバーが多いので、日本語がわからないベトナムだけ、拍手のタイミングや、ジョークが伝わるタイミングがずれてしまうこともあります。

英語は誰の母語でもないですが、共通言語にすれば話しているタイミングで何となくわかるので、反応がずれてしまうこともなくなるかもしれません。

感動課についての説明

感動課とは何の課でしょう? 「サイボウズに関わる人に、関わって良かったなと思ってもらう」というミッションで活動している課です。 私たちはサイボウズに入る前にもベトナムにある他の日系企業で働いたことがありますが、そういう部署があることはサイボウズに入ってから初めて知りました。たぶんこういう課はサイボウズだけにしか存在しないと思っています。

今まで主に活動しているのは日本だけです。ベトナム拠点でも感動課に相当するチームをこれから設立する予定がありますので、日本の担当者から色々経験を共有してもらいました。ベトナムにもそのようなミッションを担っているチームがあったら、社内にもっと感動があふれてくるでしょう?

スクラムについての研修

サイボウズのスクラム支援の担当者からスクラムの概要を説明してもらいました。 簡単なワークショップにも参加しました。

ワークショップを通じて、定義の曖昧な言葉(確約 (commitment)・勇気 (courage)・集中 (focus)・公開 (openness)・尊敬 (respect) 等)が具体的に何を指しているのか分かるようになりました。

5価値に関するワークショップ
スクラムの5つ価値基準の良い・悪い例をあげるワークショップ

スクラムマスター (SM) は、開発チームの作業を妨げる障壁をなくしたり、問題を解決したりするための方法を考えます。SMの主な仕事は「思考」です。SMは仕事としてしょっちゅう「思考」するのですが、それを具体的な行動としては表現できないから、周りの人に理解してもらえず、「あの人は何もしていないな~」と思われてしまうことが多いですね。

たぶんそれゆえに、ベトナム拠点ではSMの役割を担当している人が他の役割(QA, PG等)を兼務しないと不安になってしまうようです。

日本側でSMを専任としてやっている人の姿を見て素晴らしいと感じたので、ベトナム側のみんなにはQA, PGと同様に、SMも専任でやるべきことだと理解してほしいです。そうすれば、SMの役割が発達し、SMならではの改善もでき、会社によりよい貢献ができるでしょう。

PBIとSBLの違い
おまけ:Product Backlog Items (PBI) と Sprint Backlog (SBL) の違いの説明

ガルーンの体験入部

日本側のガルーンの開発スクラムチームであるJupiterに参加しました。 Jupiterチームは体験入部する期間に、休暇を取ったり、別の予定があったりして、皆さんも忙しいのに、私たちに暖かい気持ちで色々に教えていただいたので、とても感謝しています。 Jupiterチームで朝会やQAのモブ会に参加しました。両方ともWEB会議ソフトZoomという体制で開催しました。Zoom なら、リンクがあれば、自席などどこからでも参加できるので、距離感も縮まりますし、別の拠点の人も気軽に参加して一緒に作業できるというメリットがあります。その一方で、一日中ヘッドフォンを着けているので耳が痛くなるのがデメリットの一つです。もう一つのデメリットは、自席からヘッドフォンで話すため、隣の人の声が漏れて集中できなくなってしまったりすることです。ちなみに、一番感心したのはタスクの実施に透明性があることです。やっている作業をコメントで常に共有することで、周りの人がいちいち聞かなくても作業がどこまで進んだのか把握できるのでとてもいいと思います。

また、普段の仕事ばかりしていると交流する時間があまりないので、毎日の午後に1時間ぐらい話すための場を確保していただきました。話した話題は、SMの役割など真剣な内容から、デスマーチという新しい用語、PGが集中すると休憩さえ忘れてしまうことなど気楽な話までいろいろありました。

研修期間の第4週目の最後の2日間は、Jupiterの事情でSiriusチームに参加することになりました。Siriusチームとは製品に関するお客様からの問い合わせを受けて、対応するチームです。それで、問い合わせの調査にも参加させていただきました。この仕事の難しさは、相手の意図を汲むことはもちろん、相手がまだ考慮していない部分まで考慮して、提案したり、確認したりする能力を身に着ける必要があることだと分かりました。そして、文章を書くとき、必ず相手に伝えたいことを頭の中で整理してから、相手が分かりやすい易しい文章を書くことがとても大事だと気づきました。

その他

部活動の楽しさ

業務以外の活動にも参加しました。

ジムに一緒に行って、TRXとスパルタンワークアウトをやってみました。ジムに滅多に行かない私には具体的に何のトレーニングなのかも最初は分からなかったのですが、実際に参加してみると、どうやらTRXトレーニングは紐を使い、体をストレッチして、筋肉、柔軟性、バランス力を総合的に鍛えるトレーニングです。そして、スパルタンは走ったり、ジャンプしたりする激しい運動の間に短い休憩を入れ、それを繰り返すトレーニングでした。

結構長く真面目に運動していない体なので、本気で使いこなすと辛かったです。面白いことは体が疲れれば疲れるほど頭がすっきりになることですね。パソコンの前に座り込みすぎると、頭の動きも鈍くなるわけですね。今回をきっかけにして、これからも引き続き体を鍛えようとやる気が湧いてきましたよ。

スパルタンワークアウト初参加
疲れ切ったけど、皆頑張ってスマイルしている!

サイボウズには他にもいろいろ楽しそうな部活動があります。例えば、甘い物を食べながら交流するスイーツ部や、月に1回くらいみんなで集まって一緒に料理をする料理部等です。今回はその料理部に参加し、みんなと料理を作らせてもらいました。

その日のメニューはキノコの炊き込みご飯、ベビーリーフのサラダと豚肉の生姜焼きでした。

料理部で作った料理
出来上がった成果でしゅよ~🤤

定食屋さんに行けば、同じメニューを簡単に注文することができるかもしれませんが、みんなと一緒に準備してから食べる料理にはどの店でも味わえない親しみやすい家庭の味がしていて、胸がジーンとしました。

料理部のみんなでご飯を食べる
会社だって大きな家族ですね

まとめ

一ヶ月は矢のようにあっという間に過ぎました。今回の出張のお陰で、普段仕事であまり接するチャンスがないメンバーとも話し合うことができました。

通訳者といっても、ベトナムで長く生活しすぎると、日本人など外国人と話すときに多少緊張してしまう気がします。コミュニケーターはベトナムと日本とのコミュニケーションの橋になる存在なので、緊張という気持ちは通訳の障害になると言っても過言ではないでしょう。こういう風に日本に出張して行って、日本のメンバーと直接触れ合う回数を増やすことにより、自信を持つようになり、緊張する気持ちを多少制御できるようになれると思うので、とてもありがたく感じています。

また、ベトナムの開発チームが日本に出張することになったら、日本オフィスでサポートするのは基本的には日本メンバーです。しかし、日本メンバーも忙しいでしょうから、コミュニケーターがこういう出張で日本に馴染むようになって、サポートを手伝えるようになるとよいかもしれません。

最後に、出張と言えば大変な印象があるかもしれないんですけど、また機会があれば前向きな態度で出張に行きたいです。そして、もっと良いコミュニケーターになり、毎日元気で、新しい自分にチャレンジし続けたいと思います。