ポジティブな気持ちから変化を起こせるチームを作るために意識していること

こんにちは。 スクラムマスター(以降、SM)のToshinari(@10shinari)です。
私はkintone開発チーム内の複数のチームを横断的に支援しています。

サイボウズではSMのことを社内外問わず、より多くの人に知ってもらう啓蒙活動の一環として、サイボウズのSM達によるリレーブログ企画を開催しています。
この記事はリレーブログ企画の記念すべき第一本目の投稿です!
もし記事の内容に興味関心を持たれた方がいらっしゃれば、社内外関係なくお声がけいただけると嬉しいです。
とくに社内の方は、うちのチームの相談に乗って欲しいなどあればお気軽にお声がくださいね。

さて、本記事では、私がSMとしてポジティブな気持ちから変化を起こせるチームを作るために意識していることをご紹介します。

チームメンバーが声を出しやすい環境を作る

チームメンバーが声を出しやすい環境にすることを意識して行動しています。
チーム活動においてメンバー間の対話はチームのパフォーマンスに強く影響します。 例えば、スクラムチームのレトロスペクティブでは、スプリント内での課題や気づきを認識し、解決策を議論してチーム活動を改善していきます。
もしも健全に対話することができなければ、課題や気づきを共有し合うことへの障害になったり、解決策の妥当性が低下したりしてしまい、チームの成長速度が低下してしまいます。もしくは、成長の機会自体を失うかもしれません。

声を出しづらい環境になってしまう要因としては、例えば次のようなものが挙げられます。

  • 評価/批判されてしまうことへの不安
  • リモート等の仕事環境
  • 個人の持つ特性の考慮不足

評価/批判されてしまうことへの不安が見受けられる場合には、チームメンバー同士が人となりを相互理解し合えるように、定期的に会話する時間を設けたり、チームビルディングを企画したりします。

リモートでWeb会議システムを介して仕事をする際には、発言者を沈黙から不安にさせないように、相槌をしたり、積極的に声を入れたりします。

会議をファシリテートする際には、次のような個人の持つの特性を考慮して振る舞います。

  • 即座に反応して意見を出す人 / 長考して考えを纏めて意見を出す人
  • 2人で話する方が意見を出しやすい人 / 複数人で話する方が意見を出しやすい人

意見を求める際に、考えを纏める時間を確保する意図で長考タイプの人には後ろの方の順番で振ったり、人数による意見の出しやすさを考慮してグループに分けたりしてファシリテートします。

声を出しづらい環境になってしまう要因も対応方法も他にもあります。あくまでも、紹介したものは一例です。
もし興味関心のある方がいましたら、社内外関係なくお気軽にお声がけください。一緒に研鑽しましょう!

チームメンバーの良き話し相手になる

チームメンバーの良き話し相手になります。
こちらから提案したり、声をかけてもらったりしてチームメンバーと1対1で会話をする機会を意識して設けています。 基本的には相手の話を聞くスタンスで、必要に応じて相手の考えや気持ちを引き出し一緒に整理します。
マネージャーと役割が被るところがあるかもしれませんが、チームメンバーとの距離が近い位置で、評価判断の入らないフラットな関係性で話合えるのがSMとしての私の立ち位置ならではだと考えています。
1ON1ではなく、あくまでもフラットな関係性での雑談です。時には私の話を聞いてもらうこともあります。 また、必要に応じて他の人(マネージャー等)と繋げることもあります。 それだけのためではありませんが、そのように人と人を繋げられるように関係性を広げておくこともSMとして一つ大事なポイントだと考え、心に置いて活動しています。

チームメンバーのポジティブな気持ちを起点にした変化を起こす

チームメンバーのポジティブな気持ちを起点にして変化するお手伝いをします。
チーム活動は変化の連続です。チームが自ら変化していくこともあれば、時には背中を押したり、伴走したりしてチームの変化と向き合います。 ただし、変化と向き合うことは一筋縄ではいきません。
SMからチームに変化を投げかけても反発にあったり、チームの気持ちが置いてけぼりな変化は本質的な改善には繋がったりしません。
ピーター・M・センゲは変化について次のように述べています。

人は変化に抵抗するのではなく、変化させられることに抵抗するのだ
(書籍「学習する組織」より引用)

ではどうしたら良いのか。
そこで、どうするとチームが変化が必要だと認知し、変化したいという気持ちが生まれるのかといった視点がポイントになります。

一つは、”痛み”といったネガティブな要素が変化のトリガーになります。 転けて膝を擦りむいて、痛かったから次は転けないように自発的に行動を変えるように。

一方で、変化のトリガーはそういったネガティブな要素だけではなく、ネガティブとは真逆のポジティブな要素もトリガーになり得ると考えています。 筋肉のついたイケてる自分を夢見て、食事制限に気を配ったり、ジムに通ったりと自発的に行動を変えるように。

私はSMとして、後者のようなポジティブな要素をトリガーにしてチームの変化を支援していきたいと考えています。 いかにして変化の起点となるようなポジティブな要素をチームから引き出すか。 例えば、チームから自分たちがどう在りたいのか気持ちを引き出し、現実とのギャップを明らかにして、自分たちで気持ちよく一つずつクリアしていける環境を作るお手伝いをしたりします。

言葉で書くとシンプルに見えますが、奥の深い領域です。 私もまだまだ道半ばですが、SMとして活動する中でとくに自分の芯になる考え方です。

「スクラムマスターって何をするの?」に対する私なりの答え

ここまで、ポジティブな気持ちから変化を起こせるチームを作るために意識していることを紹介してきました。
このリレーブログ企画ですが、記事の最後に「スクラムマスターって何をするの?」への執筆者なりの答えを記載することをルールにしています。執筆するSMによって答えに色が出ると思いますので、他のSM達がなんて答えるのかも注目してみて頂けたらと思います。

さて、私なりの答えですが、
スクラムマスターは、チームメンバー、一人ひとりがポジティブな気持ちから自主的に行動を起こしチームの成果を高めていけるように環境を整えるお手伝いをします。

そのように考えるようになったきっかけは、過去に私がQAエンジニアとして働いていた頃のとある経験からです。 過去に次のようなネガティブな状況を経験したことがありました。

  • 自身を取り巻く環境に縛られてしまい考えることや発言することを諦めてしまった
  • このままではいけないという感覚を持ちながらも現実から目を逸らして目の前の作業に集中することで誤魔化してしまった
  • そのように過ごす中で自身の未来を考えた時に悲しく感じてしまった

そのような状況で、別のプロジェクトへ挑戦する機会があったのですが、そのプロジェクトはチーム環境が素晴らしく、私自身のスキルは同じであるにも関わらず、仕事にやりがいを持ち、それでいて成果を出していくことができたのです。

そこでの経験から私はチームの環境を整えることを通して、チームメンバーの気持ちや行動を引き出しチームや組織に貢献していきたいと考えるようになりました。

おわりに

最後まで読んでくださってありがとうございました。

もし記事の内容に興味関心を持たれた方がいらっしゃれば、社内外関係なくお声がけいただけると嬉しいです!

この後にもサイボウズのSM達がリレー形式でブログを投稿していきます。
楽しみにしていてください!