スクラムをやっていないチームでスクラムマスターとして振る舞ってみた

こんにちは!kintone Design System(kDS)チームでスクラムマスター(以降 SM)をやっている中川(@hayate4th)です。 サイボウズでは SM の仕事をより多くの方々に知ってもらう啓蒙活動の一環として、リレーブログ企画を開催しています。

blog.cybozu.io

  • 対象者: スクラムマスターが近くにいるけどありがたみを感じたことがない人
  • 学習成果: 記事の内容に関連する悩みについて、近くのスクラムマスターに相談できるようになる

この記事では、スクラムはやっていないが SM 的な振る舞いをするメンバーがいることによってチームにどういった変化があったのかお話ししていきたいと思います。私にとっての SM の重要な役割について、スクラムをやっていないという点から深掘りしてきます。

kintone Design System(kDS)チームとは

kDS チームは kintone の開発に関わる人に向けて、一貫性のあるユーザー体験とデザインの品質を提供するために kintone Design System の開発・運用をしています。詳しくは以下の記事を参照ください。

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kDS チームでは以前スクラムをしていたこともあり開発フローのところどころでやっていた頃の名残がありますが、現在スクラムは行っておりません。 チーム構成はリーダー兼 PO + 開発メンバー 4 人となっており、カンバンベースで 1 週間サイクルで開発 〜 リリースをしています。

曜日 会議/イベント
朝会
朝会、タスク着手準備タイム*1、ふりかえり
朝会、勉強会
朝会
朝会、リリース

そんな kDS チームに今年の 1 月から私が入って、チームメンバーとして開発をしながら SM として振る舞うことになりました。

何をしてきたのか

チームに入る前にチームリーダーからどういった課題があるのか事前に話は聞いていました。

  • kintone 製品開発チームとの距離が遠いためコミュニケーションが取りにくい
  • 会議などでの発言が特定の人に偏ってしまう
  • 開発以外のチームごとに目を向ける時間がない
  • etc...

これら一つ一つの課題を私が主体的に解決していくのも手かもしれませんが、それだと私がいざチームを離れることになった場合同じようなことの繰り返しになってしまう懸念を持ったため、課題に対してチームが向き合えるようにチームの自浄能力を高められるところに手をつけました。

幸いにもチームで課題を自分ごとにする重要性についての理解力はとても高かったので実際に SM としてやったことは

  1. 「自浄能力をより高めたい」ということを伝える
  2. 見つけた課題をチームに挙げやすくする
  3. 課題を改善して成功体験を積めるようにする

の 3 点でした。具体的には

  • チームビルディングでお互いのことをより知る自己/他己紹介ワークショップを実施する
  • 発言をしていいんだよということをわかりやすくするためのワーキングアグリーメント*2を導入する
  • チームの課題を見つけやすくするためにアジャイルチームに関するサーベイを受ける

といったものを kDS チームではやってきました。

先に述べたようなチームが抱えている課題も少しずつチーム自身で解決できるように働きかけ、改善の成功体験をたくさん積みつつ今まで見えていなかったような課題も挙げられるようになることで、より多くかつ困難な課題に取り組みやすくなることを期待していました。

どういう変化があったか

私の視点からの話になりますが、入ったばかりの頃と今のチームは大分違うなと感じるところはあります。

最初の頃は、チームリーダーも言っていたようにある特定の人物に偏った発言が多かった印象がありました。そこから発言に対する小さな頷きなどの反応が徐々に増えていき、細かな発言がところどころ出てくるようになりました。それらを経て、今では「最近雑談してないかも」「ちょっとパワー不足」のようにチーム自体に対して思っていることや「〜コンポーネントが、〇〇っていう点でイケてないかも」のように実際の開発物に対する提案が色々なチームメンバーからも以前より出るようになりました。

このようにさまざまな課題をチームに挙げられるようになり、以前よりたくさん改善策を実施できるようになりました。改善していく中で手応えがなかった施策ももちろんありましたが、そこはしっかりと振り返って次へと繋げようとする動きがチームにあり、より困難な課題に立ち向かえるようになっていると感じています。

変化が次の変化を呼びチームの成長へとつながっています。

スクラムマスターって何をするの?に対する私なりの答え

最初の方にも伝えさせていただきましたが、kDS チームは現在スクラムを行っておりません。そんな中でも SM をやっているのは、「スクラムをただやっている」という事実は SM にとってはそこまで重要なものではないと思っているからです。

世の中の何かしらの課題を解決するために集まったチームも、日々開発していく中でチーム自身にもさまざまな課題が降ってくると思います。それらをチーム自身が難なく解決できるのであれば、きっとそのチームは世の中の課題も解決できると思います。ただ、そんな状態のチームは最初からはないと思うのでそのような状態にチームが近づけるように SM はチームの背中を押す必要があると思います。

これが私の思う「スクラムマスターって何をするの?」に対する答えです。

背中を押す方法はたくさんあると思います。人と同様にチームも十人十色なので、そのチームをよく見てチームにとって良さそうなことを日々考えながら行動に起こすことがスクラムマスターです。

さいごに

最後まで読んでいただきありがとうございました。

もし記事の内容に興味を持った方がいらっしゃったら、ぜひ社内外関係なく声をかけていただけると嬉しいです!

*1:1週間で着手するタスクの決定とそれぞれのタスクの見積もりをし、ロードマップとの照らし合わせをします

*2:「いつでも・なんでも・なんかいでも質問し、質問されたら答える。」「いつでも・なんでも・なんかいでも相談する。ハドル呼び出し放題。」のように気軽にコミュニケーションをとってもいいんだよということがわかるような内容になっています