新卒社員が"はてな卒業生訪問企画ブログ"をきっかけに「なんでも技術共有場所」を爆誕させるまで

こんにちは。クラウド基盤本部、PDX(Platform Developer eXperience)所属のびきニキです。
突然ですがみなさん、以下の記事は読まれましたか?

developer.hatenastaff.com

Hatena Developer Blogの連載企画「卒業生訪問インタビュー」では、創業からはてなの開発に関わってきた取締役の id:onishi、CTOの id:motemen、エンジニアリングマネージャーの id:onkが、いま会いたい元はてなスタッフを訪問してお話を伺っていきます。

id:motemenが担当する第11回のゲストは、サイボウズ株式会社でソフトウェアエンジニアとして活躍しているid:itchynyさんこと、濱田健さんです。

こちらのブログは「弊社の良さ」と「はてなさんの良さ」が詰め込まれていて非常に素敵なブログだなと思っており、弊社社員の中でもたくさん読まれています。

そんな中、社内分報にこんな感想が書き込まれていました。社員が「社内の技術共有がはてなほど活発ではないので、そういう場所があるといいなと思ったりします。」という箇所に対して、「これはたしかに。分報とは別に社内ブログ文化みたいなのがあればいいんだろうか?」と反応している画像

私が所属しているPDX(Platform Developer eXperience)は、新プラットフォームを利用して開発・運用するチームの支援を行うことを目的としたチームです*1

今年立ち上がったばかりのチームではあるのですが、これから力を入れてやっていきたいことの1つとして「クラウド基盤本部の発信強化」がありました。

そのような背景もあり、この発言がPDXの週次定例でゆるく共有されました。その場では「いつか検討する」タスクとなりお開きになったのですが…

定例から2日経ち、タスクが完了していました。

今回は、いったいその2日でなにがあったのか、運用してみてどうなのかをまとめます。

#0 PDX定例でゆるく共有され、メンバーが内容を認識する

PDXでは、毎週火曜日にチームの定例が開かれます。メンバー全員がこの内容を認識したのは、9/24(火)。その場では「知見を共有できる場所を用意し、運用方針を固める」というゴールが設定されたタスクが積まれ、一旦私の担当になりました。

タスク自体は「手が空いたらいつかやる」ような、緊急度も重要度もあまり高くないカテゴリで分類されていました。

#1 自分の考えを整理する

緊急度も重要度もあまり高くないカテゴリでタスク分類されたものの、私は次の日もこのタスクが気にかかっていました。検討系タスクは「いつかやる」ようなレベル感で分類されると絶対やらなくなるな…と思っていたためです。

自分の分報で呟いている画像。「社内ブログだと割と技術共有のハードルが高くなる気がしていて、「簡易的な知見共有の場」として基盤本部のスペースに専用の新規スレを立てるみたいなのが候補に上がった  しかしこういう取り組みは投稿する人が固定化されがちでいずれ過疎化するという経験則があるので それらを踏まえると、自分の分報に好き勝手書く今のスタイルでもいいんじゃないかな〜〜〜と思ったりした👀 でもこういう「失敗してもダメージがないタスク」はとりあえず浮かんだ時点で試せよという私もいる」と投稿している。

自分が今思っていることを書き出す目的で分報に書き込んだのですが、一度書いてしまったので「熱量があるうちにやるしかないんじゃないか?」というような気持ちになっていき、実際にインタビューを受けていた濱田さんに連絡を取ることにしました。

#2 はてな卒業生のid:itchynyさんに話を聞く

濱田さんの分報に突撃して雑談を依頼する私

自分の分報でやる気を出している私

突然連絡が来てびっくりしたこと間違いなしだと思うんですが、丁寧にご対応いただいてありがとうございました。雑談の中では、以下のようなことを話しています。

  • 実際にはてなではどういう取り組みだったのか
    • 社内にWiki(日記)みたいなものがあり、そこに雑に書いていた

      • kintoneの日報がイメージ的には近い、それよりはまとまっている

      • でも敷居は低い(社内技術ブログみたいな感じ)

      • 短いものなら数行

      • 実際の内容

        • jqのクエリやオプション

        • vimプラグインの紹介

  • 投稿メンバーは固定されていなかったか
    • 半分くらいは書いてた

    • 記事に関するコメントもついていた

  • ルールなどはあったか
    • 特になし、強制感もない
  • 濱田さんの周りでそのような取り組みを見かけることはあるか
    • 技術ごとのスレッド(「Go」「Java/JVM」「AWS」など)はあるが、過疎化している状態
  • サイボウズでやるならどういう形式がいい?
    • Slackで投稿したことを知らせるようなRSSもあると嬉しい

    • 1スレでごちゃっとしてるほうがカオス感があり、良い

    • はてな時代で、関連して困ったことは特にない

    • ガチな記事が多いと上がらなくなっていくので、ガチな記事を書いたあとはハードルを下げるような投稿をしたりしてみんなが投稿しやすいようにしていた

最後には「実際に場所ができたら私も投稿して盛り上げられるようにします!」とも言っていただきました!力強い!!!!!

#3 はてな社員のid:cohalzさんに話を聞く

さて、はてな卒業生には話を聞きましたが、今はどうでしょうか?もしかしたらより良い取り組みへと進化しているかもしれませんし、なにかトラブルがあって廃止されているかもしれません。

濱田さんが3年前にはてなを卒業したという事実を踏まえて今の状態も知りたくなった私は、知り合いであるid:cohalzさんに連絡を取り、こちらも雑談してもらうことにしました。

雑談の中では、濱田さんから聞いたことを前提に「変化があるかどうか」に焦点を置いた以下のようなことを話しました。急な雑談依頼に対応してくださりありがとうございました!!

  • 今でも社内グループウェアは動いてるし、あまり内容に変わりはない
    • たとえば「〇〇やってみた」系の記事とか、「技術や開発について考えていることや気持ちの共有(最近のはてなではそれを「エッセイ」と呼んでいる)」とかがある
    • 社内ブログの感覚
  • エンジニアが集まるSlackチャンネルもある
    • 社内グループウェアで投稿したものがRSSで流れてるような仕組みや、個人の公開ブログに書いた場合にエンジニアチャンネルに流す仕組みもありワイワイできる
  • 投稿メンバーは固定されていないか
    • 確かに投稿する人は限られてはいる部分もあるが、いろんな人が投稿してくれている(現在は100名くらいのエンジニアがいて、半数以上の人がここ半年間で社内外で何かしらアウトプットしている)
  • 今でも運用ルールとしてなにか決めているわけではないが、書いてこうぜの雰囲気はある
    • 社内評価の一つに発信*2があることも理由

#4 デイリーで練ったものを共有する

お二人からのスピード感ある対応のおかげで、私が思い立った次の日には検討材料がすべて揃い、あとは私が実行するだけの状態になりました。

あとはやるだけだと分報で意気込む私の画像

というわけで、次の日のデイリーで検討した以下の内容をチームに共有し、迷っているところを一緒に検討してもらったりしました。

これを踏まえた今後について、というタイトルのメモ画像。スレッド名やルールについて検討している。

今後の方針を練ったメモ

#5 次の日のデイリーで練ったものを共有する

そして公開。
午前中にチーム内へ内容を共有し、午後には場所を作成、その後全体へ向けて告知を打っています。

すべての技術情報を歓迎するスレの告知投稿画像

今回はこの取り組みのためだけに完全に新しいスペースを立てました。スペースの説明欄はこんな感じ。

これが初日の様子です。たくさんの人が技術情報を共有してくれていますね!

以下の画像に収まり切らず悔しいんですが、もっと他の人の投稿もあり、コメントもついています!!!
※ できる限り投稿を載せるために頑張ったんですが、解像度がガビガビなのはご了承ください🙏

これから

これから改善したい点もたくさんあり、現時点でいくつかフィードバックもいただいています。

 

改善できそうなところ

実用的な小ネタの多くはエンジニアの分報の作業メモの中に書かれることが多いので、それを別スレに一手間かけて転載してもらうことを期待するよりは、AIに社内の分報からこちらのスレに掲載すると価値が高そうなものを自動で収拾してきてもらえるようにできると理想的かもしれません。

また、社内でコードとかの断片が引用されて議論されていたりする時に、その意味を解説してくるお喋りエンジニアAIボットとかがあると、自分の慣れていない技術に自然と馴染めるようになるので本部のエンジニアの交流促進に繋がる気がするんですよね。エンジニア以外の人にも分かるように日本語で解説を添えてどこかに呟くボットとか。

やりたいですね!今回は最初なので、素の状態(そもそも需要があるのか、投稿がされるのか)などをテスト的に見ている面があります。私の熱量があるうちになにかしらでスタートさせたかったという理由もある。

そういう面で言うと、チーム外の人も理想の状態をイメージしやすくなったという点ではこのスタートは正解だったのかなという気持ち。今後は「スレッドに新規投稿があればRSSでSlackに流す」とかも可能ならやりたい気持ちなので、いろんなチームや人と協力しながらもっと快適なスレッドにしていきたいです。

 

良いところ

素晴らしい取り組みありがとうございます〜!!
ジャンル・粒度さまざまな感じが良いですし、ハードルを下げてくれる投稿もあって助かります。
技術の話だけじゃなくて、その人がどんなことをやっている人なのかも垣間見れるのがいいですね。

これに限らず、肯定的なフィードバックがかなり多いです!うれしいことです。ありがとうございます!
初日はたくさん動いていましたが、この活発さが失われないように定期的に盛り上げていきたいです🙌

おわりに

というわけで、この記事では「新卒社員が"はてな卒業生訪問企画ブログ"をきっかけに「なんでも技術共有場所」を爆誕させるまで」をお届けしました!

個人的には、今回触れた箇所以外にも「素敵だな〜」と思っているはてな社員さんの取り組みがあるので、最大限のリスペクトを持ちつつ弊社にも取り入れていきたいです。こんなきっかけを作ってくださったはてな社員のみなさん、本当にありがとうございました!!