経理からテクニカルライターに異動して学んだこと

経理からテクニカルライターに異動して学んだこと

こんにちは、テクニカルライターチームのAhiuru-kunです。このブログは、テクニカルライター/ローカライズ リレーブログの4本目の記事です。
今回は、元々経理だった自分がテクニカルライターにキャリアチェンジした経緯と、その後感じたことをお話しします。

これまでの経歴

経理職として計9年ほど働いてきました。サイボウズには5年ほど前に中途入社しました。
経理業務は、(ざっくり書くと)会社全体から数字を集めて、見やすくして、報告するのが仕事です。そんな業務をする中で、もっと自分が興味のある、好きなプロダクトやサービスに貢献したいと思うようになりました。
サイボウズへの転職を決心した理由も、サイボウズのプロダクトが前職の頃から好きだったからです。

テクニカルライターになったきっかけ

結論、偶然です。

サイボウズには「大人の体験入部」1という制度があります。社内向けに各チームの求人情報を公開する「ジョブボード」という場所があるので、そこで求人情報を見て、条件が合えば体験入部を希望することができます。
当時のテクニカルライターチームはそこに求人情報を公開していたので、期間限定で体験入部をすることにしました。社会に出てからコーポレート部門でしか働いたことがなかったので、別の職種の働き方、文化などを学びたかったからです。

体験入部はとてもやりがいのあるものでした。
経理は、専門的な情報を他部署のメンバーに説明する機会がよくあります。会計や税金のことを専門分野でない方に伝えるのはとても難しいです。
テクニカルライターはまさに「物事をわかりやすく、正確に伝える」職種です。その方法を複数人で検討して実践していくことを専門とするチームがあることに感動しました。
また、プロダクトにより近い距離で関わっていけることにもやりがいを感じました。

結果として、経理からテクニカルライターにキャリアチェンジすることを決心しました。その判断を支持してくれた当時の経理チームメンバーには深く感謝しています。

苦労したこと

体験入部では気づかなかった、テクニカルライターとしての大変なことは多くありました。

ユーザーへの理解が浅すぎて、何を伝えればいいのかわからない

経理時代は「『こちらが伝えたい話』を伝える」に全力でした。とにかく経費申請の締め切りを守ってほしい! とにかく領収書を出してほしい! と、こちらの押し付けをしていました。
異動して、自分のエゴイズムに気づけたのは良かったのですが、じゃあ「ユーザーの知りたいことがまとまった、有益なドキュメント」をどう書けばいいのか、まったく思い浮かびませんでした。

業務の幅が広い

経理がカネを数えるだけの職種ではないように、テクニカルライターも、文章を書くだけの職種ではありませんでした。
プロダクトやターゲットユーザーへの理解、品質や期日の合意形成、翻訳への配慮、ドキュメントを公開するための定型作業など、必要な仕事をあげればキリがありません。
異動当初は考慮漏れが多く、チームメンバーにたくさん支えていただきました。環境に救われていましたが、お給料をもらっている以上、本来であれば自分で思考して、手を回すべき点です。自分の力不足には悔しい思いをしました。

対応した業務

異動後は、当社プロダクトの「Garoon」に関するドキュメントを担当することになりました。はじめは既存ドキュメントのごく軽微な修正を対応し、そこから間もなく新機能の手順を説明するヘルプの執筆を担当しました。

Garoon モバイルのヘルプ執筆

Garoonには、スマートフォンに対応したアプリGaroon モバイルがあります。このアプリのヘルプも執筆しました。

Garoon ヘルプには当時すでに、モバイル端末を利用するユーザー向けのヘルプがありました。Garoon モバイルのヘルプを新たに執筆する場合、既存記事も含めて構成を検討したほうがよいと考えました。ヘルプの構成の見直しは、チームメンバーと一緒に早めに進めることができたので、モバイルアプリのヘルプの執筆開始前に見直しを完了することができました。
また、Garoon モバイルのヘルプの原文は日本語で執筆されていますが、ローカライズチームに助力いただき、日本語執筆とほぼ並行して翻訳を進めました。結果、プロダクトリリースに合わせて3言語同時にヘルプを公開できました。

ヘルプサイトの課題発見とWebデザイン変更

このようなヘルプの執筆を担当しつつ、チームでヘルプサイト自体の改善を検討しはじめました。はじめは何から手を付けてよいのかさっぱりでしたが、チームの方にアドバイスいただき、サイボウズの社員にヒアリングをすることにしました。
サイボウズではもちろんGaroonを使用しています。なので、サイボウズの中でも比較的最近入社した、まだGaroonの操作にあまり慣れていない方々の意見を聞いて、ヘルプで価値が生み出せそうなことを考えました。
ヒアリングした結果、当時のヘルプサイトのトップページに課題がありそうという結論になりました。ヘルプサイトのトップページから目的とする情報を探しづらい、といったご意見が複数あったためです。
デザインの改善にあたっては、デザイン&リサーチチームに助力いただき、社内でユーザービリティテストを実施しました。ユーザーにトップページのデザイン案を見せ、どこをクリックして必要な情報を探すかを実際に試してもらいました。また、ヘルプサイトの開発保守を担当するチームにも相談し、仕様を詰めていきました。
Webサイトのデザイン変更も当然はじめての経験だったので、チーム内外の方に助けていただきました。

定常業務の拡大

単発のプロジェクトのほか、定常的な業務の幅も増やしていきました。当初はヘルプサイトやリリースノートの執筆を担当していましたが、現在ではプロダクト本体に実装されるUIテキストの検討にも携わっています。サイボウズのテクニカルライターは開発本部内のチームのひとつとして存在しているので、開発プロセスの早い段階から、実装仕様とUIテキストを並行して検討しています。

テクニカルライターへのキャリアチェンジを振り返って

経理は会社の屋台骨であり、最後の砦です。責任感もある重要な仕事でしたが、自分は視野が狭いので、近場の「数字」でしか考えなくなっていたし、数字の前段にあるヒトやモノに対して、どうしても親近感を覚えられませんでした。目の前のことにだけ熱中してしまう、自分の悪いところだと思います。
異動してから、当社のプロダクトの成長を支えるために何ができるのか、をより考えるようになりました。開発本部内で、プロダクトを近くで見て直接触れる環境のおかげです。また会社の最後の工程である経理のこともちょっとは知っているので、自分という人的資本の活用方法も少しは考えられている、と思います。


  1. キャリアの検討や現在の業務へ活かすことを目的に、他部門に一時的に兼務・異動ができる制度です。
    メンバーの可能性を広げ、ミスマッチを減らす「大人の体験入部」とは?