こんにちは、フロントエンドエンジニアのおぐえもん(@oguemon_com)です。
先月このブログでもお知らせした技術ブログの夏フェス「CYBOZU SUMMER BLOG FES '24」は、8月20日(火)に20日の会期を終え、無事に幕を閉じました。
結果として、88名の当社エンジニア・デザイナーの手で、104本の記事を投稿することができました!!
Cybozu Inside Out(当サイト)の新着記事一覧は連日にわたって直近2日以内の記事だけで埋まった他、ZennのTrending欄には当社のPublicationが出した多くの記事が掲載されるなど、様々な形で本イベントの盛り上がりが見られました。
業務の合間を縫って記事の執筆・レビューをしていただいた当社エンジニア・デザイナーの方々、イベントの実行にご協力いただいた方々、そして投稿記事をお読みくださった皆様に深くお礼申し上げます。
本イベントは、結果として多くの社員を動員した大規模なものになりましたが、実はほんの些細な会話の中から生まれ、当初は100本以上の記事を集めることなど全く想定していない小さなものでした。
この記事では、本イベントが企画された経緯や、会期を終えるまでの流れを記録し、加えて社内から寄せられた声をご紹介したいと思います!
このようなイベントの開催に興味がある方、同様のイベントを検討されている方の参考になれば幸いです。
本イベントが企画されるまで
そもそものキッカケ
それは、6月下旬に行われた当社のkintoneフロントエンドリアーキテクチャプロジェクトの集まりにおける一場面でした。
終盤に開催された自由議題のセッション(OST=Open Space Technology)にて、当プロジェクトの外部発信が不足している現状を打開するため、この課題に興味を抱く人たちでブログ記事のネタ集めをしていました。
30分弱の間にあれやこれやと多くのアイデアが出てきて、「これだけ集まればここにあるネタだけでアドベントカレンダーができそうですね」という話に。しかし当時はまだ6月で、アドベントカレンダーの時期(12月)まで半年も待たなければなりません。
ここで、「逆に8月のような時期外れにアドベントカレンダーをするのが面白いんじゃないか?」となり、あえて変な時期にやるメリット(他社さんが出す無数の記事に埋もれない/企画に独自色を出せるなど…)が見出されてその場の議論が盛り上がりました。
企画書の作成と賛同者の募集
集まりの後、これは本当に実現するしかない!と思い、急いで賛同者を集めるための企画書を作りました。
企画書においては、「アドベントカレンダーを真夏にやる」という目を引くコンセプトを真っ先に出しつつも、きちんと賛同を得るために、あえて真夏に行う優位性を示して単なるウケ狙いでなく一定の合理性があることを主張しました。
そして作った企画書を引っ提げて、イベントが実現したときに記事を書いてくれそうな人と運営有志をフロントエンドチーム内で募りました。当時はまだフロントエンドチームの一イベントという想定でした。
ありがたいことに、アドベントカレンダーに必要な人数ほどではないものの、結構な人数が集まりました。さらに、当初の議論の場にいたSajiさん(@sajikix)とフロントエンドエキスパートチームのmugiさん(@mugi-uno)がイベントを進める有志として名乗り上げてくださったので、無事イベントを実行に移すことができました。
企画の具体化
運営有志との初回の打ち合わせでは、イベントのコンセプトなどの概要を細かく検討して決めました。
イベントのコンセプトとは、ブログの連投イベントを演出するためのテーマです。「アドベントカレンダーを真夏にやる」という触れ込みで走り出したものの、アドベントカレンダーは日程に宗教的な意味があるイベントであり、その開催時期を本当に変えるわけにもいかないので、別のテーマを考える必要がありました。
「ラジオ体操」「夏休み」「花火」などの数ある案の中から、「夏フェス」が採用されました。採用理由は主に次の通りです。
- 夏フェスの特徴や"あるある"は、イベントの随所に絡めやすい
- イベントの盛り上がりを容易に想起できる
- 「夏フェス」というだけあって、夏らしさが強い
そして、イベントの詳細は「夏フェス」から逆算することで発想していきました。
「CYBOZU SUMMER BLOG FES '24」というイベント名はもちろんのこと、テーマごとに投稿レーンを分ける「Stage」の仕組みも、大規模な夏フェスの複数ステージ制から連想されたものです。
複数Stage制を導入することで、この企画はフロントエンド職能に限定したイベントでなく、領域横断的なイベントに拡大することになりました。
参加者集め
本イベントでは、Stageを設営してくださるチーム・記事を投稿してくださる方を「参加者」と呼んでいます。
当然ながら、本イベントは多数の人が参加しなければ成立しないので、最も重要にして最も心配していた部分でした。当初の想定範囲だったフロントエンドエンジニアはもちろんのこと、Stage制を成立させるために他分野のエンジニアにも参加していただく必要があったのも理由の1つです。
参加に対する心理的な障壁をなるべく下げるため、イベントの内容を可能な限り柔軟にしました。例えば、記事の内容はStage名に絡むことなら何でもOKとし、そのうえ各Stageの投稿開始日や投稿日数は一定範囲内で各エンジニアチームが自由に決められるようにしました。
そして募集方法においても、単に募集告知を社内掲示するのでは、これを見た人に行動に移してもらうのが難しいと考え、運営者とツテのある分野のエンジニアチームやそのリーダーに「ぜひともStageを設営して記事を書いてください!」と直接打診する地道な活動を行いました。
直接お願いする方法は功を奏し、こちらがお願いした全てのチームに承諾をいただきました。多くのチームが多忙である中、大変ありがたいことでした。
思いがけなかったのは、私たちがお願いしなかったチームからも参加の意思が多く寄せられたことでした。
私たちからの依頼を受けたエンジニアチームのメンバーが別のチームにイベントを紹介するケースや、どこからかイベントの情報を嗅ぎつけた方が自チーム内で独自にイベントへの参加を呼びかけるケースが散見られ、こうして参加者を集めた上で参加表明をしてくださったチームが新たに複数現れたおかげで、本イベントは当初の想定を大きく上回る規模で開催することができました。
そして、参加者募集の過程で規模が膨れ上がるについて、その様子を見た周囲の方から「どこかのStageで参加したい」との要望も個別にいただくようになり、結果として90人弱の参加者が集まりました。
こうした経緯を通じて、サイボウズのエンジニア・デザイナーが持つ発信活動に対する意欲の高さ、イベントの趣旨に賛同いただいたときの行動力の高さに感銘を受けました。
会期までの準備
参加者への連絡
宣伝に必要な情報を集め、イベント実施に関する注意事項を周知するためにも、参加者への連絡は不可欠です。
全ての方は業務のかたわらで本イベントに参加しているので、連絡の確認や対応に十分な時間をかけていただけるとは限りません。そのため、連絡の内容は極力コンパクトにまとめ、記事執筆にあたって順守いただく規則など、参加者へお願いする内容を最小限に抑える努力をしました。
例えば、記事執筆に対する規則は次の2点だけにしました。
- 記事冒頭に定型文を掲載する
- 可能なら運営が用意したサムネイルテンプレを利用する
.pptx
形式のファイルで、手元のPowerPointでテキストを変えるだけで作成できる
また、参加者とのやりとりは全てkintone上で行いました。周知すべき事項の連絡は「スレッド」という掲示板形式の機能を活用し、表形式での情報管理が求められる場面(参加チームなど)では「アプリ」機能を使用しています。こういった機能を1箇所に集約して扱えるkintoneは使い勝手が良いですね!(自画自賛)
広報媒体の作成
イベントの趣旨と公開した記事の一覧を見られる場所として、特設サイトを設置しました。
デザインは、丁寧である方がイベントの"ガチ感"が出るので、余白や配色などの細部を整えることを重視しました。使用しているホスティングサービスは、Cybozu Frontend Monthlyなどでの採用実績があるGitHub Pagesです。デプロイが簡単かつ高速でとても便利です!
あわせてイベントの宣伝記事も用意しました。こちらは、簡潔かつ分かりやすくイベントの内容を伝えることを心がけました。
事前の宣伝
特設サイトと宣伝記事を会期開始の1週間前に公開し、その直後に参加者の方々に対してSNS等を通じた宣伝をお願いしました。
さらに、Cybozu Inside Outを管理しているチームの方々のご厚意で、サイドバーにイベント告知のバナーを掲載いただきました。こうした協力をはじめとする各方面からの心温まるサポートが本イベントの成立に不可欠だったと言っても過言でありません!
会期中の様子
本イベントには、8つのエンジニアチームと新人社員が集まった1チームの合計9チームが参加して、同数のStageが設営されました。各Stageは会期(8月1日〜20日)の中で投稿開始日を自由に設定できることから、多くのStageが日程を会期の後ろの方に設定し、序盤は2つのStageによる投稿から始まりました。
序盤の時点で、投稿記事はいくらかの読者を集め、例えばFrontend Stageでは、序盤に紹介した通り主な投稿先であるZennでTrendingに記事を並べることもありました。アドベントカレンダーの時期ではなかなか難しい快挙です。
その後、徐々に投稿を始めるStageが増加し、8月15日には9つのStageが同時に投稿を開始。終盤には1日に8〜9本の記事が投稿される日が6日間も続きました。この勢いは花火大会さながらでした。
会期中は、投稿者を中心に記事やイベントの宣伝が積極的に行われ、Xなどでは賑わいを見せていました(#CybozuSummerBlogFes2024)。
フロントエンド、デザイン、インフラ、生産性向上などなど合計100本の記事が上がる夏のブログフェス、今月から開催中だよ! / CYBOZU SUMMER BLOG FES '24 特設サイト https://t.co/qo6WSzsSv5
— Teppei Sato (@teppeis) 2024年8月4日
アクセス数の面でいうと、新着記事の数に連動したアクセス数の増加が見られたものの、1記事あたりに換算すると平常時から大きく増加したといえるものではありませんでした。
ですので、本イベントが社外にもたらした効果は、記事あたりの注目を集めたことというより、新着記事が立て続けに現れて当社の記事に目を向ける機会が増えることによる単純接触効果や、当社の取り組みやエンジニア文化、有益な技術的知見に関する発信量・公開情報の増加にあると考えています。
本イベントを終えて
イベント終了後、記事を投稿していただいた方からアンケートを収集しました。
肯定的な意見
いただいた肯定的な意見の中で目立ったのは「外部発信の機会になって良かった」という声でした。これは、発信の機会を自ら作ることに心理的な障壁が生じがちな新人の方だけでなく、あらゆる方面から広く寄せられました。
これは、社内のエンジニア・デザイナーの多くが、自身の活動や知見を何らかの形で外部発信しなければと頭の中で考えつつも、日々の業務の兼ね合いなどから自ら行動に移せていない状況にもどかしさや課題感を抱いていたことを示唆しています。 本イベントは、そうした方々に記事を書く後押しを加え、さらにそうして発信された内容を社内外の皆さんにお届けする機会を与えることができた点で、とても有意義だったと信じています。
また、「みんなで盛り上げた文化祭感があって良かった」「お祭り感があって良かった」との声も寄せられました。
本イベントは当初の想定を大きく超えた社員数を動員する結果になりました。これには、イベントの参加状況を見た人が参加する、まさに規模が規模を生む好循環が働いたことが一つの要因であったと考えています。そして、イベントの趣旨に賛同する多くの方々の主体的な行動が少なからぬ参加者に連帯意識をもたらして、名実ともにお祭りのような雰囲気を醸成することができたのではないかと思います。また、多くの参加者の存在にサイボウズへの帰属意識を見出す方もおられ、こうしたイベントが社内に与える好影響を肌で感じることができました。
今後の改善を求める意見
前例がない中での企画・運営であったため至らぬ点も多々あり、当然のことながら今後の改善を求める意見も複数寄せられました。
主なものは日程に関する意見でした。
本イベントの会期は分かりやすさを重視して「8月1日〜20日」つまりお盆期間を含む20日連続の日程を設定しました。ただでさえ有給休暇取得者の多いこの時期に平日休日問わず連投を続けることは、記事の執筆のみならず、執筆された記事のレビューの日程調整にも負担を強いることになってしまいました。こうした中で、土日祝を日程から除外する改善を求める声が少なからず上がりました。
こうした負担に加え、読者の多くがイベントの会期に特段の意識を向けていないことが判った点、土日祝はどうしても読者数が平日に及ばないことが判った点から、土日祝の敢行にこだわる必要がないことを学びました。
他には、「私のチームも誘って欲しかった」という意見も受けました。
前述した通り、本イベントは単なる全体掲示では参加チームが現れないと見込み、直接お願いする方法のみで参加者を集めていました。そして、こちらの想定が裏切られて、参加者が大きく広がった時点では、今さら全体掲示するには期限が短い状況にあり、ついに全体掲示をすることなく参加者を確定することになりました。エンジニアチームを超えたイベントとして広く参加を募るなら、当初の見込みの大小に関わらず全体に等しくイベント情報を届ける努力をすることが、エンジニアチーム間の不公平感を軽減するために必要であることを学びました。
まとめ
以上が、8月に開催されたブログイベント「CYBOZU SUMMER BLOG FES '24」の経緯と顛末、そして事後評価でした!
本イベントの企画と運営を一通り経験した1人として、イベントの趣旨が大勢の賛同に値するものだったときの勢いの強さ、イベントの規模が一定を超えたときに生み出す盛り上がりと一体感を痛感しました!来年の実施は未定ですが、こうした取り組みは今後も随時行いたいと思います。
なお、本イベントで投稿された104本の記事は、特設サイトでまとめられており、全て今でもお読みいただくことが可能です。皆様に有益な記事ばかりだと自負しておりますので、ぜひご覧ください!
最後までお読みいただきありがとうございました!