こんにちは!kintoneのアプリ設定チームでスクラムマスターをやっている大石です。
サイボウズではスクラムマスターの仕事をより多くの方々に知ってもらう啓蒙活動の一貫として、リレーブログ企画を実施しています。
対象者: スクラムマスターが近くにいるけどありがたみを感じたことがない人
学習成果: 記事の内容に関連する悩みについて、近くのスクラムマスターに相談できるようになる
スクラムマスターは”チーム作り”をする役割です。私がスクラムマスターになってすぐに取り組んだのもチーム作り(チームビルディング)でした。
はじめはチームビルディングをどう設計するかよくわからず、他チームの事例を片っ端から参考にしたり、いろんな人に相談しアドバイスをもらったりして計画を立てていました。
今までチームビルディングを計画・実施した時に感じたことについて改めて整理し、今後のチーム作りに繋げていきたいと思いこの記事を書きました。
ここでは、効果的なチームビルディングをするために心がけていることや、やってよかったコンテンツをお伝えしようと思います。
チームビルディングとは
チームビルディングとは、個々のメンバーが自らの力を最大限に発揮しつつ目標を達成できるようなチームを作る取り組みを指す言葉です。
アプリ設定チームでは、年に2回のペースで全員がオフィスに集まり、チームビルディングを実施しています。
チームビルディングで心がけていること
私がチームビルディングの設計をする際に心がけていることは主に3つあります。
目的を決める
日常業務から離れた空間を作る
スケジュールに余裕を持つ
目的を決める
その時のチームの状況によって、目的を決めています。
初めてチームビルディングをやった時は、職能間でコミュニケーションに遠慮があるといった課題感がありました。全国各地にメンバーがいて、まだ一度も全員で集合したことがない状態だったというのが大きかったと思います。そのため、「まず、会って話そう!」「コミュニケーションの総量を増やしてチームメンバー間の信頼関係を深めよう。チームの心理的安全性を高めよう!」ということを目的としました。
その後も新しいチームメンバーが加わったり、メンバーの入れ替わりがあったりしたので、毎回コミュニケーションの総量を増やすことは大きな目的としています。そのうえで、チームビルディングを実施する時期によって、「1年のふりかえりをして来年に向けて目標を立てる」「開発計画に寄与するためにチームとしてできることは何か考える」などその時期強化したい部分を目的を加えています。
チームの状況に応じて「今チームにとって必要なこと、補ったほうがいいことは何だろう」と考え、目的として事前にチームメンバーにも伝えることで、皆が同じ方向を向いて参加できるようになります。
日常業務から離れた空間を作る
アプリ設定チームは東京オフィスと大阪オフィス所属のメンバーがほぼ半々のため、チームビルディングも東京と大阪交互に実施しています。1年に2回と回数を絞ることで、チームビルディング実施時だけは全員がリアルに集合できるよう各自調整してもらっています。
ほとんどリモート業務という人や、チームビルディングの機会がなければ出張しないという人も多く、普段行くことのないそれぞれのオフィスを新鮮に感じるメンバーも多いようです。場所が変わると気分もリフレッシュされ、チームビルディング中の議論では普段は出てこないような視点の意見が出てくるように感じています。
スケジュールに余裕を持つ
日程は1泊2日の予定を組むことが多いです。チームメンバーは全国各地に住んでいて、移動に時間のかかるメンバーもいます。移動だけで疲れたり遅れたりするメンバーがいないように、チームビルディング初日は午後からの開始にしています。そうすることで全員が焦ることなく落ち着いてチームビルディングを始めることができます。
2日目は午前中から開始し午後早めに終了するようにして、新幹線や飛行機で移動するメンバーにも負担にならないようにしています。
スケジュールに余裕を持つと、1つ1つのコンテンツにも集中して活発に取り組んでもらいやすいです。チームビルディング前後の開発業務に支障をきたさず、チームビルディング実施中は全員が集中できる状態を作ることを意識しています。
効果的だったコンテンツ
チームビルディングの中で、やってよかったな、効果的だったなと思うコンテンツをご紹介します。
わがままカード
お互いの価値観を確認できるサイボウズ独自のカードゲームです。
- ルール
5枚のカードを手持ちとして、残ったカードは中央に積み重ねて積み札にします。そこからカードを1枚引いて、自分の価値観から最も遠いものを捨てていきます。それを5回繰り返し、最終的に残った5枚の価値観を見せ合って「なぜそれを選んだか」を共有します。
社内にはチームビルディング用に何セットかわがままカードが常備してあります。サイボウズ商店で購入することも可能です。
わがままカード 〜人それぞれの「大切」は何?〜 – サイボウズ商店
簡単なルールで、普段の業務ではわからなかったそれぞれの価値観を知ることができます。意外な一面が見えたり、自分と考え方の近いメンバーがわかったりと盛り上がりました。5~6人でやるのがちょうどいいので、人数が多い場合はグループに分かれて実施し、各グループの結果を写真に撮って共有するのがおすすめです。
わがままカードは簡単なルールで場が温まるので、その後に議論がしやすくなるなと思いました。
期間を決めないふりかえり
kintoneはスクラムをしているため、普段はスプリントの最終日にふりかえりをしています。その時はスプリント中に起こった短期間での出来事をふりかえることがほとんどです。
チームビルディングでは、スプ
リント期間にこだわらずにチームの課題を扱うふりかえりを行っています。2~3時間くらいじっくり時間を取り、開発するうえで気になっていること、改善できそうなこと、チャレンジしたいことなどをmiroに書きだしてもらいます。そこからあらたな探求タスクやチャレンジが見つかることも多く、日常を離れて話し合う意義を実感しています。
このふりかえりの中で生まれた取り組みや話し合いは、以下のようなものがあります。
コード分割をもっと加速させるために期間のゴールを決め、それに向けて作業時間を確保する
チーム内のナレッジをためるアプリを作る
できることを増やすためにそれぞれの勉強方法をシェア
テストピラミッドの理想を話し合う
チームビルディング1日目はわがままカードなどお互いの理解が進むコンテンツを導入として行い、2日目は課題をじっくり話し合えるようなコンテンツにすると、場が温まって議論が活発になり、効果的なチームビルディングができるように感じています。
チームメンバーの声
今年6月にやったチームビルディングでは以下のような声がありました。
直接議論することでわかる空気感みたいなのもあると思うのでこういう機会があってよかった
いつもの振り返りより広い範囲での課題に関して議論できたので良かったです
チームの課題が難しくなってきて、ますます勉強しなきゃなと思いました
これまでの話(ふりかえり)に加えて、未来の話(どうしていくか)も議論できてよかった
チムビルついでにリアルモブとかする時間取れてもいいかも?
今後取り組みたいこと
アプリ設定チームは比較的穏やかで安定しているチームです。この安定感がマンネリ化した空気にならないよう、新しい刺激を取り入れていきたいと思っています。
たとえば私1人でチームビルディングを設計するのではなく、関心のあるチームメンバーを計画段階から巻き込んでマンネリを打破したいです。
また、プロダクトのビジョンに対して自分たちができることは何か、といったように広い視点で業務を考えることや、チームの未来についてももっと話をしていきたいと考えています。
メンバーの声にもあるように、チームビルディングの前後に普段はできないリアルモブでの開発をすることも促したいですね。
「スクラムマスターって何をするの?」に対する私なりの答え
スクラムマスターは、チームが最大限の成果を出せるようバックアップし、時にリードし、チームのために常に動いていく役割だと考えています。
具体的には、この記事に書いたチームビルディングの設計や、ふりかえりのファシリテーション、ビジネス面や顧客に関するインプット、また顧客理解をチームに促すこと、チームの観察や介入などです。それらをより効果的に行っていくために、習得したいスキルに関連した本を読む、スクラムマスター同士の雑談や1on1で相談して知見を得る、技術面でわからないことをチームメンバーに質問して自身で整理するなど、いろんな角度からインプットを欠かさないようにしたいと思っています。
また、メタスキルとしては、いつも機嫌よく穏やかな状態でいることを心がけています。
ふんわりした課題にどう向き合ってどう動いていくか迷う時も多くありますが、試行錯誤しながら進んでいきたいと思います!