開発経験なしの新卒QAエンジニアがQAを知るために勉強したこと

この記事は、CYBOZU SUMMER BLOG FES '24 (New Commer stage) DAY 8の記事です。

こんにちは!24年入社の新卒QAの水谷です。
今はサイボウズOffice mobileのQAをしています。

今回は、開発未経験の新卒が、QAになるためにどんな勉強をしてきたのかをお伝えできればと思います!

  • QAという仕事に興味があって勉強したい
  • 開発経験のない人が情報系の知識を付けるために何を勉強しているのか知りたい
  • 書籍や資格取得を通じて勉強したい

という方に興味を持ってもらえる内容ではないかと思います。

私の場合は、書籍と資格取得での学習がほとんどで、動画などの教材は利用したことがありません。
ですので、書籍や資格取得を通じた勉強がしたい方には参考になるところがあるのではないかと思います。

簡単な自己紹介

学習内容の話をするために、はじめに私に何の知識があるのか、ないのかを簡潔に説明します。

  • 採用サイトを見るまでQAという職種自体知らなかった
  • インターンやハッカソンなど開発の体験がない
  • ソフトウェアエンジニアリングの知識がない
  • 情報系の知識に偏りがあり、大学の専攻の関係でDB、情報検索だけ基礎的な知識はある
  • 卒論は機械学習を使ったものだったので、多少のプログラミング経験あり

という経験、知識の状態で入社が決まり、入社前から少しずつ勉強を続けています。
この記事では、この記事では、QAを知るために勉強したことについて、QAとしての知識と情報系の一般的な知識の2つの軸から掘り下げていきます。

QAの知識

QAとして仕事をする上での基礎として私が勉強したものは大きく分けると以下の2つです。

  • テストの基礎概念
  • テスト技法

総合的に勉強できたもの、テスト技法に特化して勉強できたものを紹介します。

総合的に勉強できたもの

テストの基礎概念、テスト技法どちらもバランスよく学べた教材はJSTQB Foundation Level(FL)の資格取得でした。

JSTQB(1は、ISTQBという国際的なQAエンジニアの団体が実施している資格の日本版で、QAの資格としては一般的なものの一つです。
JSTQB FLは業務経験なしでも受験できる資格で、JSTQBで実施されている資格試験で最も初級なものです。

そのため、初学者向けになっており、公式で配布されているシラバスを読むだけで十分効率的に勉強ができました。
特に、品質保証とテストの繋がりや、テストの7原則など、テストを行う上で土台となる基礎的な概念の整理がわかりやすく説明されています。品質保証という概念の理解にとても役立ちました。

加えて、メジャーなテスト技法も一通り触れられています。
状態遷移や同値分割など、実際のテストでよく出てくるものの学習ができたのは非常に助かりました。

私は、入社前にこの資格を取得したのですが、QAについて基礎知識がない状態から勉強する非常に良い内容だと感じました。
基礎的な概念からしっかり解説されているので、資格を取らずに勉強として読むだけでも十分役に立つと思います。
QAに限らず、テストに携わることのあるエンジニアであれば、シラバスを読むだけでも参考になる部分のある資格だと思います。
一般的な試験のシラバスと違い、JSTQBが公式に出しているシラバスは教科書のような形で内容がまとまっているため、シラバスを読むだけでも勉強になると思います。

テスト技法について勉強できたもの

ソフトウェアテストの教科書

この1冊でよくわかるソフトウェアテストの教科書(2は、テストを実践することに解説の重きを置いた書籍です。
一般的に使われるテスト技法やテストモニタリング、テストドキュメントの作成法などが丁寧に解説されています。

概念的な部分の解説の分量は必要十分に抑えつつ、テストを実践する上で重要になる箇所の丁寧な解説がわかりやすい一冊です。
特に、テスト技法に関しては練習問題を交えつつ、実例を使って丁寧に解説されています。
テスト技法をしっかり理解して実践する上でとても参考になる一冊でした。

次に紹介する、ソフトウェアテストの練習帳と併せて学習するとテスト技法の理解の心強い味方になってくれると思います。

ソフトウェアテスト技法練習帳

ソフトウェアテスト技法練習帳(3は、ブラックボックステストの技法を実践的な問題を解きながら練習できる問題集です。
段々と問題が難しくなっていくため、基礎から少しずつ難しいテスト設計の練習へと進めて、テスト技法を試すための練習として非常に勉強になりました。

ソフトウェアテストの技法は、勉強したあとすぐに実際に試せる場があるわけではなく、練習できる問題集も数が少ないです。
まとまって練習問題が解けるこの問題集は、テスト技法を実践的に理解するのに非常に助けになりました。

ただ、練習帳自体ではテスト技法の細かな説明はないため、前述のソフトウェアテストの教科書と併せて学習するなど、テスト技法の知識をつけながら、あるいはすでにある状態で、取り組むのがいい書籍かなと思います。

QAとして基本的な部分の知識は、上述した資格と書籍で入社前~入社後にかけて勉強しました。

情報系の知識の勉強

情報系の知識の勉強は

  • 情報処理技術者試験

で主に勉強しました。
私が勉強したのは主に情報処理技術者試験ですが、もちろん社内での研修や、業務をしながら関連知識を他の方から教えてもらうことでも知識が増やせます。

情報処理技術者試験

情報系では有名な初歩的な資格で、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が試験を実施している国家資格の一つです(4
レベルとしては、初級、初学者向けな捉えられ方をしている資格かなと思います。

情報系出身の方だとわざわざマネジメントや経営系の項目を勉強してまで取得するほどの資格でないと言われる場合も多いかと思います。 ただ、私の場合は、文系出身で基礎的な知識が欠けている部分が多かったので非常に勉強になりました。

特に、PCの中のメモリや加算器の基本的な知識やネットワーク周りの基礎的な知識は欠けている部分が多かったので、資格をとって非常に良かったと思っています。

私は文系出身で、専攻に関係ある以外の情報系の知識がなく、情報系の分野はかなり知識に偏りがありました。 機械学習や自然言語処理、情報検索が専攻だったので、その辺りの知識は少しあるものの、他の分野では知識がほとんどない状態でした。

文系出身でIT系に来られた方は、私のように、一部だけ知識があるけど全体的な知識はほどほど、みたいな場合もあるかと思います。
そういう場合に勉強する資格としては非常にバランスが良いものだったと思います。

情報処理技術者試験は、勉強内容としては市販の参考書を買って1週読んで、過去問題を解いて勉強しました。
参考までに、JSTQB FL、情報処理技術者試験ともに、初学者の私でも1ヶ月程度で資格取得できたので、興味があれば気軽に挑戦して楽しく勉強できる資格だと思います。

最後に

かなりざっくばらんな記事になっている気がしますが、私の勉強内容が参考になった方がいれば嬉しいです。
今回は紙面の関係で書けませんでしたが、QAは、何をテストすれば不具合の少ない、安心してユーザーに届けられるソフトウェアになるのかを考えるとても楽しい仕事です。
もし、この記事を読んでQAについてもほんの少し興味を持ってくれた方がいたら嬉しいです。

ここで紹介した書籍はブログ末尾で書籍情報を掲載しておりますので、ご興味あればぜひ読んでみてください。

QA Engineer stageの方で「新卒QAが感じたスプリントプランニングのありがたさ」というタイトルでブログを書いていますので、よければそちらもご覧ください。

参考資料
  1. JSTQB. JSTQBについて. JSTQB 認定テスト技術者試験. (2024/08/07閲覧)
    JSTQB認定テスト技術者資格-JSTQBについて-
  2. 布施昌弘, 江添智之, 永井努, 三堀雅也. 【この一冊でよくわかる】ソフトウェアテストの教科書 [増補改訂 第2版]. SB クリエイティブ株式会社. 東京, 2012, p.333.
    【この1冊でよくわかる】 ソフトウェアテストの教科書 [増補改訂 第2版] | SBクリエイティブ
  3. 梅津正洋, 竹内亜未, 伊藤由貴, 浦山さつき, 佐々木千絵美, 高橋理, 武田春恵, 根本紀之, 藤沢耕助, 真鍋俊之, 山岡悠 ,吉田直史. ソフトウェアテスト技法練習帳~知識を経験に変える40問~. 技術評論社. 東京, 2020, p.216.
    ソフトウェアテスト技法練習帳 ~知識を経験に変える40問~:書籍案内|技術評論社
  4. 独立行政法人情報処理推進機構. 基本情報技術者試験. (2024/08/07閲覧)
    基本情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構