AWS移行が完了したUS版kintoneと、これからの挑戦

こんにちは、@ueokandeです。 先日6月21日に、日本のデータセンターで運用していたUS版kintone (kintone.com) が、ついにAWSに完全移行しました。 このAWS移行プロジェクトは2018年にスタートし、2019年秋の新規顧客向けリリースを経て、この6月に全US顧客のAWS移行が完了しました。 本日はUS版kintoneのAWS移行と、これからのチャレンジについてお話します。

モノリスシステムからの独立

AWS移行プロジェクトには、2つの背景があります。

1つはUSを含めたグローバル市場の拡大です。 現地のUSリージョンで運用することで、ユーザーからのレイテンシを小さく抑えることができ、より安定したサービスを提供できます。 またこれを機に販売管理システムもUS市場向けに新規開発し、現地に合わせた販売戦略を計画できるようになりました。

2つめの背景として、クラウドネイティブ時代の、開発、運用フローの確立です。 国内に提供しているcybozu.comは、インフラシステムのモノリス化により、開発、運用面で新しいチャレンジがしにくいという課題があります (国内インフラに関してはNeco/Manekiチームによるインフラ刷新が進んでいます)。 AWS移行プロジェクトでは、国内のcybozu.comから独立して開発がスタートしました。 国内インフラの運用経験を活かして、高速なリリースフローや、コンテナアプリケーションの運用などに取り組んできました (具体的な取り組みは過去の記事を御覧ください)。

US版kintoneのこれから

移行プロジェクトが無事終了し、チームは6月いっぱいで解散しました。 しかしチームがなくなっても、サービスが終了するわけではありません。 解散後は元チームメンバーの数名がkintone開発チームに参加し、今後はkintone開発チーム全体でUS版kintoneをメンテナンスします。

開発者と運用者が同じチームに属することで、機能開発から、リリース、運用までの一連のフローが、同じチーム内で完結します。 チーム内で意思決定がしやすく、メトリクスの追加やパフォーマンスチューニングなど、新しいチャレンジへのハードルが下がります (従来のプロダクトでは、運用チームと開発チームが明確に分かれています)。

これまでkintoneの機能開発をしていたメンバーが運用に携わることで、真のサイトリライアビリティに向けた取り組みがスタートできます。 AWS移行プロジェクトではできなかった、今後の取り組みについては、以下のようなものがあります。

  • アプリケーションやユーザー視点でのSLI/SLOの検討
  • Microservicesなどの脱モノリス
  • 分散トレーシングなどのクラウドネイティブな監視の仕組み

US版kintoneの開発、運用体制は、技術的だけでなく組織的にも、社内のカナリアリリースに当たります。 そして溜まった知見は、将来のNeco/Maneki移行に活かす予定です。

もっとAWS移行について知りたい人は

7月14日(火)にMeetupを開催します! 当時のプロジェクトメンバーから、US版kintoneのアーキテクチャや、移行の裏側についてお話します。 YouTube Liveによるオンライン配信予定なので、興味のある人はぜひご視聴ください!

cybozu.connpass.com