頑張って作った機能解説動画が、いかにして多くの製品利用者に見てもらえるようになったか 〜改善編〜

アイキャッチ画像:頑張って作った機能解説動画が、いかにして多くの製品利用者に見てもらえるようになったか 〜改善編〜

みなさんこんにちは。油そばと同居したいテクニカルコミュニケーションチームの近藤です。油そば先輩に一生ついていきます。

この記事は、頑張って作った機能解説動画が、いかにして多くの製品利用者に見てもらえるようになったか 〜制作編〜の続きです。先に「制作編」を読んでいただくと、「改善編」がより理解しやすく、興味深く読んでもらえること、間違いなしです!

公開すれば終わり、ではない

制作編では、動画に取り組むようになったきっかけや制作環境、ルールなどをお話ししました。チームを超え、いろんな人を巻き込みつつ、無事Garoonのワークフロー動画を公開することができたわけですが、動画を公開したら終わりというわけにはいきません。動画制作のあるあるな悩みなど、その後も数々の試練が待っていました。

ここでは、作った動画をより多くの人に見てもらうための工夫についてお話ししたいと思います。

サクッと最後まで見れる長さに(離脱防止)

動画を制作するにあたり、適切な長さとはどれくらいなのだろうか?これは難しい問題ですよね。ちなみにGaroon ワークフローの動画は平均で8分ほどの再生時間です。場合によっては10分を超えるものもあります。

YoutubeにはYouTube Analyticsという、投稿した動画やチャンネル全体のパフォーマンス解析ができる機能があります。

YouTube のエンゲージメント指標(視聴回数、高評価、低評価、チャンネル登録者数)には、視聴者があなたの YouTube 動画やチャンネルに反応した数が反映されます。動画やチャンネルの人気を知るうえで重要な指標となります。

Toutubeヘルプより

このYouTube Analyticsを使って、動画のエンゲージメントを分析してみました。

その結果、公開している動画について、次のことがわかりました。

  • オープニング(30秒)で離脱する傾向が多い
  • 長い動画は最後まで再生してもらえない確率が高い

画面キャプチャー:YouTube Analyticsで長い動画を分析している
長い動画は離脱率が高くなります

複雑な機能を説明する目的で長い動画を作るのは、「ユーザーに必要な情報を不足なく届ける」という観点では問題ありません。しかし、多くのユーザーが動画の途中で離脱してしまう事実を考えると、Garoonのヘルプ動画にとっては長い動画が適切ではないことがわかります。

動画マーケティングソフトウェアのWistia社の分析調査では、2分以内の動画は高いエンゲージメントを獲得すると発表されています。

How Long Should Your Next Video Be? https://wistia.com/learn/marketing/optimal-video-length

そこで、新たに作る動画は「なるべく2分以内に」というルールを設定しました。新たに作った動画を分析した結果、高い水準で視聴が保持され、長い動画と比べて動画の離脱傾向が低くなりました。

画面キャプチャー:YouTube Analyticsで短い動画を分析している
再生時間が短いと安定して最後まで見てもらえてますね

また、2分以内となると伝えられることも限定的はなりますが、その分伝えたいことが整理され、シンプルになります。

また、短い時間で効率よく伝えるために、冒頭で紹介する機能のメリットや効果を伝えるシナリオを作成するようになりました。これにより、ユーザーがより引き込まれる動画になっています。

時間を短くするのは難しい作業ではありますが、シナリオ制作の腕の見せ所でもありますね!

製品からの導線で認知度をアップ

せっかく作った動画も、ユーザーに見てもらえないと意味がありません。「せっかく動画を作ったけど、ユーザーに見て貰えなかった」ーーこれは動画制作のあるあるではないでしょうか?自分の作った動画をターゲットユーザーにどうやって知ってもらうかは大きな課題ですよね。

Garoonは、新しいバージョンがリリースされると製品画面に「こんな新機能が出ましたよ」という特大のバナーが表示されます。ここに、動画への案内を表示してもらえるようになりました。

画面キャプチャー:Garoonの製品画面からお知らせバナーが表示されている
新しい機能をお知らせするバナーに動画へのリンクが!

これが凄い反響で、Garoonのヘルプアンケートに「こういうのを待っていた」「わかりやすい」「この機能使っていたけど、もっと理解できた」などのポジティブなコメントをいただくようになったのです。もちろん「こうしてほしい」というご意見もたくさん届きました。そして、動画の再生回数がものすごく伸びたのです。

この反応はメンバーにとって、大きな励みになりましたし、製品からの導線は効果が絶大であると認識することができました。

ちなみにこの動画へのリンクは、Garoonのデザイナーからの提案からはじまったものです。動画制作時からデザイナーやPMなどの開発メンバーと連携していたので、こうやってアイデアを提案してもらえるのはとても嬉しいことですね。

UserInsight(ヒートマップ)を用いた改善3つ

UserInsightは、ヒートマップによるユーザー行動の可視化できるツールです。ヒートマップを使うと、ユーザーがよく閲覧している部分や、クリック数が多い場所を視覚的に把握できます。

ここの場所は特等席(ユーザーが気づきやすそう)だな、というのが分かるんです。UserInsightでGaroonヘルプを分析したところ、下記の学びがありました。

サムネイルはやはり最初にある動画がよく見られる

Garoonヘルプサイトに動画で学ぶという、動画のサムネイル一覧ページがあります。これをヒートマップで見てみると、ユーザーの熟読エリア(ユーザーの視点を表現したもの)、そして実際にクリックした箇所はどちらもやはりページの上の方にあることがわかりました。

画面キャプチャー:UserInsightを使って熟読エリアを計測している
ユーザーヘルプの熟読エリア

画面キャプチャー:UserInsightで実際にクリックされたところを計測している
実際にクリックされたところ

そこで、動画で学ぶページのサムネイルは場所を固定するのではなく、新機能などのその時に一番見てもらいたい動画はページの上部に並び替えるよう、その都度臨機応変にやっていくことになりました。

ユーザーヘルプからの導線

Garoonは製品からいくつかヘルプにリンクが貼られているのですが、代表的なのがユーザーヘルプへのリンクです。こちらはヘッダーのアカウント名をクリックすると見られるのですが、Garoonヘルプの中でもアクセス数がとても高いページです。

画面キャプチャー:Garoonのヘッダーからリンクされているユーザーヘルプ
製品からリンクされている「ユーザーヘルプ」

動画へのアクセスを高めるため、このユーザーヘルプの上部に動画へのリンクを設けました。

画面キャプチャー:ユーザーヘルプの上部に動画へのリンクを付けている

この改善の後、ヒートマップやGoogle Analyticsで経過を観測したところ、動画を配置している各ぺージへは、一定数このユーザーヘルプから遷移していることがわかりました。改善の効果が出ていますね!

ナビゲーションは真ん中がよく見られる

Garoonヘルプにはグローバルナビゲーションというメニューが存在しています。当初、「動画で学ぶ」は一番右端に配置していました。 画面キャプチャー:動画で学ぶへのリンクが一番右側に設定されている

これもヒートマップで確認すると、グローバルナビゲーションで「動画で学ぶ」はあまり関心を持たれていない、または気づかれていないように見えます。

画面キャプチャー:UserInsightで見ると動画ページへ関心を持たれていないことがわかる
ヒートマップで見るとほとんど動画ページへの関心がありません

そこで、「ユーザー」の隣に「動画で学ぶ」を移動して順番を変更しました。また少しでも、目立つように動画のアイコンも追加しました。

画面キャプチャー:動画で学ぶがメニューの真ん中に設置されている

その結果、ユーザーの関心をよく得られるようになりました。

画面キャプチャー:UserInsightで移動した動画ページへの関心がわかる
動画ページに熱い関心があるのがわかりますね!

目に見える効果測定はとても良い

こうして、UserInsightやAnalyticsを使った様々な改善を経て、現在の形になったわけですが、目に見えたり、数値として現れたりする効果測定は根拠を示し改善を進める上でとても大切なものだとわかります。 まだまだこれで終わりではありませんので、引き続きチーム一丸となってより良い方法を模索していきたいと思っています。

終わりに

さて、実際に動画を作ったことにより本当にその機能の利用が促進されたのか?そして動画が見られない環境というのも多いです。それにどう向き合うのか。まだまだ考えなければならない問題はあります。挑戦はこれからも続きます!

自分達で一連の動画作成の作業を行うことで、多くの学びがありました。やってみて一番良かったなと感じていることは、テクニカルライターの強みである、物事を分かりやすく伝えるという点がシナリオにも活きると実感できたことです。

これからもテクニカルライターによる動画をたくさん発信できたらなと思っています。