頑張って作った機能解説動画が、いかにして多くの製品利用者に見てもらえるようになったか 〜制作編〜

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このブログは2部構成です。この記事では前編を紹介します

みなさんこんにちは。生まれて初めて食べた油そばの美味しさに、油そば先輩に一生ついて行こうと決めたテクニカルコミュニケーションチームの近藤です。

みなさんは、何かを学んだり、アプリやサービスの操作に迷った時はどうやって情報をキャッチしていますか? 最近では、動画コンテンツからという機会も多いですよね。映像からパッと情報を知れるので、動画の方が理解しやすい方もいらっしゃいます。

実はサイボウズのテクニカルライターが、脚本・録画・編集まで手がけている動画を公開しているのをご存知でしょうか。今日は、この動画制作についてみなさんにお話ししたいと思います。

画面キャプチャー:Cybozuヘルプ チャンネルのトップページ
YoutubeにはCybozuヘルプ チャンネルがあります!

www.youtube.com

プロダクトが抱える問題

サイボウズにはGaroonというグループウェアがあります。Garoonを導入した管理者の中には、一般ユーザーに機能を活用してもらうための周知がなかなかできないという課題を持っている方もいました。便利な機能をそもそも知ってもらう機会がないというのは、とてももったいないですよね。

機能をわかりやすく伝えることができるコンテンツを切望され、特にその中で動画が欲しいという声が多くありました。テクニカルライターは、わかりやすくユーザーに機能を説明するプロフェッショナルです。なのでそういったニーズに応えられるシナリオを作るのは、適任というわけですね。

冒頭でもお伝えしましたが、最近は動画のコンテンツがかなり充実していて、質の良いわかりやすい動画がたくさん公開されています。動画やイラストはテキスト以上の情報を得ることができ、特に動画はテキストと比べて脳内での処理速度が6万倍ほど早いと言われています。こうしたことから、動画はどんどん取り入れていくべきものだとわかります。

ですが、動画制作は高いスキルを必要とされるイメージがあり、さあやろう!と取り組むにはかなりハードルが高く感じてしまいますよね。私たちもそうでした。手探りで動画制作ソフトや動画サイトを調べてはみたものの、なかなか一歩が進まない状況でした。

加速のきっかけは一人の学びから

そんな中、動画制作への機運が高まる出来事が。チームのメンバーが海外の大学院に入学したのです。そのメンバーが受講した授業のひとつに、動画を制作することの重要性を学ぶものがありました。

この授業では、ドキュメントにすると10枚くらいになる複雑なことでも、動画だと2分くらいで説明できたりする、などの効果があることが説明されました。また、他にも実際に使うソフトやシナリオの書き方まで、制作する上での基本的なことを学べる講義でもありました。

そして、チームに「Camtasia」という動画制作ソフトが共有されたのです。Camtasiaは、機能と学習コストのバランスがとても良いソフトだったので満場一致で採用になりました。

画面キャプチャー:Camtasiaの編集画面
Camtasiaは動画編集初心者にも使いやすいソフトです

ターゲットとバリューの設定

ターゲットとバリューを決めておくと、動画制作の明確な目標が立てられプロジェクトが円滑に進みます。バリューとは、動画を制作することでどんな価値を提供できるかということになります。今回は次のように設定しました。

  • ターゲット
    • 管理者:機能を新しく使いたいと思っているが、自力では設定することが難しい管理者
    • ユーザー:管理者が設定まではできているが、利用が定着していないユーザー
  • バリュー
    • 管理者:機能の全体イメージや設定の流れを効率よく理解し、機能に必要な設定ができる
    • ユーザー:利用のイメージがわかり、実際に使ってもらえる

こうして決定した目標に向かって、動画の制作を開始しました。

初めの一歩はワークフロー

さあ、制作環境と目標設定が整いました。あとは「何の動画を制作するか」です。「製品として活用促進したい機能があるのではないか」と考え、PM(プロダクトマネージャー)と連携し、動画の題材を決めていきました。PMだけでなく、プロモーション、カスタマーサポート、カスタマーサクセス、デザイナーを巻き込み、これぞサイボウズらしいチームワークという連携です!

画面キャプチャー:kintone画面に打ち合わせの議事録を残している
打ち合わせのメモにはアイデアがびっしりと!

さて、Garoonにはワークフローという経費処理の申請や稟議書の決裁などを行うための機能があります。この機能、便利なのですが使い始めるまでに管理者がやらなければならない設定が多く、実に難解な仕様になっています。よってヘルプの分量も膨大です。

テキストや図解だけではなかなか理解しづらいこの機能を、動画では手軽に分かりやすく伝えられるのでは、と考えました。記念すべき最初の動画は、Garoonのワークフローに決定です。

ルールを作ろう

動画制作は、中期的な目標に「チーム内で動画を作れる人を増やし、製品説明の表現力を高める」というのを掲げていました。安定した統一感のある動画を制作するために、ルール設定は重要です。ここでいくつか設定したルールをご紹介します。

シナリオを必ず用意する

実際、録画ボタンを押して、スラスラと話ができることはほとんどありません。シナリオを用意しておくとスムーズに録画を進めることができます。また、シナリオをレビューに出すことにより、伝えたいことの相違がないかを確認することができます。

凝った演出はしない

アニメーションなど派手な演出をしてしまいがちですが、その演出がノイズになってしまい、本来伝えたいことが伝わらなければ意味がありません。必要最低限の演出に留めます。

動画は2分以内に

これは、次回「頑張って作った機能解説動画が、いかにして多くの製品利用者に見てもらえるようになったか 〜改善編〜」で詳しい話をしたいと思っています。動画が2分を超えると、ほとんど最後まで再生されず、離脱するケースが多いことがわかりました。そのため2分以内になるように録画します。

字幕を必ずつける

音声を聞くことができない場合も想定できます。字幕は必ずつけます。TED 日本語字幕の表記ガイドラインを参考に設定しています。

完成したらほかのチームにも見てもらう

動画が出来上がったら、必ずPM、プロモーション、カスタマーサポート、カスタマーサクセスなどほかのチームのレビューを受けます。このレビューで、伝えたいことの相違がないか、また自分達が知らなかった機能の操作などを教えてもらうこともあります。Garoonはまだまだ知らない機能が多い奥深い製品ですね・・・!

画面キャプチャー:出来上がった動画に他のチームからのコメントがされている

画面キャプチャー:できあがった動画にさらに追加でコメントが届いている
こうやって他のチームのメンバーからありがたいアドバイスをもらえたりするのです

そのほかにも、マウスを無意味に動かさないことや決まった画面サイズで録画することなど、細かい数々のルールを設けています。

ちなみに個人的なルールが一つあります。それは「午前と午後で分断して録画しない」です。ご飯を食べると、人は(私は)声が変わってしまうからです。不思議ですよね。油そばの力でしょうか。

動画は製品プロダクトが抱える問題を解決したのか?

こうして、紆余曲折を経てGaroonのワークフロー動画が公開されました🎉

画面キャプチャー:Garoonヘルプで公開されているワークフロー動画一覧
サムネイル画像もチームで制作しています

ですが、公開したのではい、終わり!ではありません。「再生されない」「知られていない」など、動画コンテンツのよくある悩みが出てきましたし、また、ユーザーに機能をわかりやすく伝えるコンテンツとして、本当にGaroonの動画が貢献できているかどうかは、まだわかりません。

この後、さらなる開発チームとの連携や分析・改善を重ねていくのですが、この話は長くなりそうですので、次回「頑張って作った機能解説動画が、いかにして多くの製品利用者に見てもらえるようになったか 〜改善編〜」でお話ししたいと思います。お楽しみに!

現在は、中期的な目標であった「チームで動画を作れる人を増やす」を達成し、Garoon動画チーム(仮)(メンバー募集中)が結成されました。動画の数を順調に増やしていっています。 動画を公開することで、ユーザーからたくさんの反応が届くようになりました。特に「ありがとうございます」という声は何よりの励みとなります。

動画は、制作するにはなかなかハードルの高いものですが、やはり理解できるスピードの速さは魅力的なコンテンツだと改めて気づきました。ですが、闇雲にやってしまうと、せっかく制作したのに再生されなかった、ということも起こり得ます。目標設定と改善が成功の鍵と言えそうです。自分達でシナリオを書いて動画を制作し、分析を行うことにより、多くの学びがありました。

これからもやれることを全力で、チーム内、チームの枠を超えてユーザーの支えになるような動画を作っていきたいと思っています。サイボウズテクカルライターの動画に引き続きご期待ください!