こんにちは。kintoneチーム所属Androidエンジニアのトニオ(@tonionagauzzi)です。
本日は、社員の誰でも気軽に情報発信できるようにするにはどういった仕組みやマインドがあるとよいのか、一部の社員で話し合ったことを共有します。
背景
サイボウズでは、技術ブログの「Inside Out」やコンテンツメディアの「サイボウズ式」など、社員の誰でも積極的な発信ができる環境をさまざまな形で提供しています。
しかし、いざ自分で発信するとなったら、サイボウズの社員にはまだまだ心理的ハードルがあるようです。
私はキャリア入社1年目ですが、前職時代は気軽に個人発信や会社のQiita Organization、技術書典などで発信をしてきました。
もっともっと発信をしたい!という想いを持ってサイボウズにやって来ましたが、数ヶ月経ってみると、会社の発信制度を十分に利用できていないことに気がつきました。
そんな矢先、開発本部・運用本部の合同で、フリーテーマのOST (オープン・スペース・テクノロジー)が開かれました。
この機会に、発信活動について他の方々がどう思っているのか聞きたいと思いつきました。
そこで、テーマの1つとして私のような一社員が社外への発信を増やすにはどうすればよいかを掲げました。
私がホストとなり、同じように発信したい人や発信に課題を抱えている人がどれほどいるのか確信を持てないまま準備を進めていたところ、幸いなことに続々と人が集まりました。
参加者は、会社や個人のブログで情報発信をしているけれど課題を感じている人、既に本や記事をたくさん発信している人、発信に興味がある人などでした。
参加人数は、OST中他のテーマとの間で移動が自由だったため正確には把握できていませんが、延べ10名ほどでした。
話し合った内容
話し合ってみると、発信したい気持ちは参加者同士で共通なものの、人によって様々な課題を抱えていることがわかりました。
その反面、他者の発信については全員が推奨の意思を示しており、制度上のハードルは低いと考えている人が多いことがわかりました。
以下のように、模造紙に「知りたいこと・課題」「助言」に分けて付箋を貼りながら議論を進行しました。
Q&A
寄せられた知りたいこと・課題(Q)と助言(A)には、以下のようなものがありました。
Q: Inside Outに投稿するハードルが高すぎる気がする。
A: 会社として設けているハードルは低いはず。ただ、どうやら既存記事の質と比較したりして生まれる心理的ハードルが高いようだ。
ここでいうハードルとは、会社が設けている厳格さではなく、自分自身で生み出した心理的な抵抗感のことであるとわかりました。
Inside Outは、社員の誰でも自由に記事を投稿できます。技術ブログですが、技術を扱う内容でなくてもかまいません。
ところが、過去の投稿と見比べて「自分の記事は質が低いので、投稿するべきではない」と考える人もいるようです。
たとえ質の高くない記事であっても、投稿することで学びや成長につながるなどのメリットがあるので、投稿することは推奨されている、といった話をしました。
Q: 1万文字くらい書かないと出してはならない?そんなことはない?
A: 1,000文字でnoteに書いているチームもある。
質と同時に気になるのが文字数です。文字数が少なかったり、時間をかけていないように見られる発信は躊躇う傾向もあります。
しかし、文字数は多ければよいというわけではなく、時にはわかりやすく簡潔に書くことも重要です。急いで情報を探している人にとっては、端的な文章のほうが助かることもあるからです。
また、難しい言葉を使った記事は質が高い印象を与えることもありますが、誰でも簡単に読めるよう、専門的な用語や難しい表現を避けたブログもとても価値があります。
少ない文字数で積極的に発信しているチームもあるので、ターゲットに合わせて書きましょう、といった話をしました。
Q: 各チーム発信促進の工夫している?
A: 月2〜3回のブログもくもくタイムを設けるチーム、毎週Weeklyを発信しているチーム、バックログに「発信」を積んでいるチームもあります。
普段の業務中、外部発信するという発想や自信はなかなか生まれづらいです。
私のようにたくさん発信するつもりだったけれど、新しい環境に慣れていたらいつの間にか数ヶ月経っていたというパターンもあります。
発信は定期的に行うことで、読者からの信頼が生まれる効果があります。
発信の機会を増やすため、あるいはチームとして発信する文化を根付かせるために、独自の工夫をしているチームがあるという話をしました。
Q: Twitterは公開しないといけないの?
A: いいえ。会社用Twitterを作ってる人もいます。
会社のブログに投稿した記事を、個人のSNSで拡散している社員は多くいます。その一方、個人のSNSを公開したくないという人もいます。
個人のSNSを公開するかどうかは任意です。
もし、個人のTwitterで公開したくないけれど情報発信を拡散したい場合は、会社のメールアドレスで会社用Twitterアカウントを取得して、そこに投稿することもできる、といった話をしました。
Q: ブログのカバー画像づくりに時間がかかる。
A: 意外と文字だけでよかったりします。バズるには文字だけの方が良かったり。
ブログのカバー画像は、記事の内容をわかりやすく伝えるために重要な要素です。
しかし、カバー画像を作成するのに時間がかかってしまうので、記事を書く時間が取れないという声もあります。
もし、カバー画像を作成するのが面倒な場合は、PowerPointやKeynoteなどで文字だけの画像を作ってアイキャッチにしても全く問題ありません。
むしろ、文字だけの方が、記事の内容に集中できるという場合もあってよいという話をしました。
Q: 会社として言っていいか悩む。
A: 発信のデメリットは無いはずです。縛るルールと解き放つルールの両方が必要だが、解き放つルールをもっと増やしたいですね。
発信には、会社の認知度、社員のやる気、帰属意識などを高める効果があります。しかしその一方で、炎上や漏洩などのリスクもあります。
リスクは十分に考慮すべきですが、発信を抑制しすぎると、発信の効果を享受できなくなってしまいます。
ルールには縛るルールと解き放つルールがあり、縛るルールを優先で設けたり、気にすることのほうが多いようです。
ですが、発信を促進するためには、解き放つルールを増やすことも重要だ、という話をしました。
Q: 発信のチェックリストって社内にある?
A: 全社共通のものはありません。各チームで発信の目的やルールのノウハウを持っている様子です。
チェックリストがあり、それをクリアしていれば安心して発信できる、といった声もありました。
そこで、全社共通のチェックリストがあるのかどうかを参加者同士で確認しましたが、共通のものはなく、各チームで決めているとのことでした。
たとえば、モバイルエンジニアの外部発信では、以下のようなチェックリストがあります。
- 必須
- 社外秘情報がない
- 人やオフィスの写真掲載がない
- 製品名や人の名前などの固有名詞を適切に表記している
- 画像にalt属性を設定している
- 推奨
- 冒頭で、執筆者の紹介がある
- 誤字脱字・表記揺れがない
- 句読点の統一、適切な句点入れ・改行
- ですますなどの言葉遣いの統一
- リンク切れがない
- 参考リンクの埋め込み画像を適切に設定している
これらを満たしていることをセルフチェックした後、モバイルエンジニア同士で記事をレビューしています。
意見
以下は、会話の中で生まれた気づきや意見です。
- Inside Outだけでなく、noteやサイボウズ式などいろんな媒体を選べる
- Cybozu Frontend MonthlyのようにYouTubeを使っているチームもある
- 発信者のところに情報が多く集まる
- コミュニティの運営にまわるとさらに情報が集まってくる
- 意外と誰も見ていないと思って出す
- 個人がやりたいことをして会社が得をする構造が理想的✨
- ウソはNG、公明正大、だけ気を付ける
おわりに
この会議では、外部発信に関するさまざまな意見が交わされました。その結果、会社が設けている厳格さではなく自分自身で生み出した心理的な抵抗感をハードルとして感じていたこと、そのハードルを取り除くために社内のチーム毎にあらゆる取り組みをしていること、そして個人がやりたいことをして、会社が得をする構造が理想的といった話をしました。
また、発信を後押しするために、この会議の内容もInside Outで発信しよう!と決まり、この記事を出すに至りました。
今後は、サイボウズの発信コンテンツ運営により一層積極的に取り組んでいく予定です。ぜひ、ご覧いただきSNSなどでご意見やご感想をお寄せください。