アクセシビリティの祭典2018参加レポート

こんにちは。デザイングループの小林(@sukoyakarizumu)です。 5月17日、神戸で開催された「アクセシビリティの祭典」というイベントに、弊社の杉山(@oogFranz)と2人で登壇しました。この記事では、当日の様子と、自分が登壇したセッションについて紹介します。

「アクセシビリティの祭典」とは?

アクセシビリティとは、高齢者・障がい者を含めて、すべての人が製品やサービスを利用できることを表す言葉です。
アクセシビリティの祭典は、神戸で開催されるアクセシビリティに関するお祭りです。Web制作会社や障がい者支援の機材を開発する会社など、多くの企業が参加・協賛しています。サイボウズも協賛企業のひとつです。

当日の様子

当日は、視覚障がいや聴覚障がい、身体障がいを持つ車椅子の方など、多くの方が参加していました。どんな参加者にも情報を伝えるため、会場の情報保障がとても充実していました。どのセッションにも手話通訳がつき、かつ、発表者の発言内容が自動的に字幕に書き起こされ、さらに英語に翻訳された結果とあわせて表示されるようになっていました。

下の写真はセッションの様子です。手話通訳と日英の字幕が表示されていることがわかります。

セッションの様子
セッションの様子。向かって右側に手話通訳と日英の字幕が表示されている。
セッション自体にも、障がい者の方が多く登壇され、手話を使って登壇したり、視線入力装置などを使って、ご自身の生活状況を伝えたり、最新の情報機器の活用事例を伝えていました。支援機器やWeb技術の発展によって、多くの障がい者の方が積極的に情報を入手したり身の回りの問題を解決している姿がとても印象的でした。

会場に設けられた展示ブースにも、障がい者の方を支援する情報機器や、アクセシビリティに関するツールが多数展示されていました。

運転中の電動車椅子
電動車椅子。左右の歯を噛みしめるだけで前進や後退、左右転回ができる。

視線入力装置を取り付けたノートPC
視線入力装置を取り付けたノートPC。視線でカーソルをボタンに合わせ、注視で確定する。

登壇したセッション

私たちは、セッション「トークバトル60分一本勝負「禁断の対決!サイバーエージェント vs サイボウズ」」に登壇しました。 このセッションは、サイバーエージェントさんの桝田さん・土岐さんと一緒に、freeeの伊原さんも交えて、Webサービスでアクセシビリティを確保する取り組みについてトークバトルするという内容でした。 セッションは口上を交えながら、プロレステイストで入場するスタイルでした。

セッション中は、サイボウズのアクセシビリティの現状についてお話ししました。
サイボウズは、アクセシビリティを「ユーザがチームにアクセスできる能力」ととらえ、アクセシビリティの確保に取り組んでいます。 もともと一部の有志メンバーがはじめた取り組みでしたが、今では多くの開発チームが自主的に活動を行うようになりました。 また、広報や営業など、開発以外の部署にもアクセシビリティに興味を持つ社員が増えてきました。
アクセシビリティの取り組み - サイボウズ

社内では勉強会が活発に行われています。アクセシビリティに関する書籍を輪読したり、製品のテストをしてみたり、障がい当事者による講演会やユーザビリティテストを開催したりしています。

また、製品の改善も少しずつ進んでいます。特にデザインのリニューアルの際には、アクセシビリティの確保がコンセプトの一つとして組み込まれるようになりました。 今年2月〜5月にかけて行われたサイボウズガルーンのデザインリニューアルでも、コンセプトの1つとしてアクセシビリティが挙げられています:
新デザインのご紹介 - サイボウズガルーン

サイバーエージェントさんも、多くのアクセシビリティ改善を行っているようでした。特にFRESH!というサービスは、 WebアクセシビリティのJIS規格である「JIS X 8341-3」への準拠を目標としているとのことでした。国内Webサービスでの準拠は前例がなく、素晴らしいチャレンジだと思います。 また、多くの社員の方が関わり、わかりやすいアクセシビリティガイドラインをつくっていることも、とても印象的でした。

お互いの取り組みには共通の悩みも多く、「バトル」を意識して相手に不足しているところを攻めると、そのまま自分の弱点を突いてしまうようなところもありましたが、充実した議論ができました。

余談:実況スレッド

サイボウズには、社内イベントや会議中に、コメントを自由に書き込む「実況スレッド」というコミュニケーションスペースがあります。セッション中は、弊社の多くの社員が実況スレッドに感想を書き込んでくれていました。

当日はサイバーエージェントさんの動画サービス「Fresh!」で生放送が行われており、 会場にいない社員にも、オフィスにいながらセッションの内容を体験してもらうことができました。情報保証の大切さを実感しました。