3月27日に、二泊三日でサイボウズ・ラボユース「春の開発合宿」を行いました。そして合宿最終日の29日、APASEC勉強会との共同開催という形で、成果発表会を行い、第2期サイボウズ・ラボユースの活動を成功裏に終わらせることができました。
「サイボウズ・ラボユース」は、サイボウズの研究開発子会社であるサイボウズ・ラボが、「世界に通用する日本の若手エンジニアの発掘と育成」を目的として、学生を対象に行っている育成支援プログラムです。
金銭的なサポート(アルバイト雇用、勉強会参加の交通費)とサイボウズ・ラボ社員の指導を受けながら、1年間に渡って、それぞれの研究開発テーマに取り組むことができます。一般的なインターンなどと大きく違うのは「会社との間で機密保持契約が不要」という点。むしろサイボウズ・ラボユースでは、github上で作業し、成果はオープンソースライセンスで公開することが条件となっています(著作権は本人に帰属)。
このプログラムは2011年度から始まり、今回(2012年度)が2期目の活動となります。 今年度活動しているサイボウズ・ラボユース第2期生と、それぞれが取り組んだ課題は、以下の通りです。
- 内田公太「C-HelperでC言語を効率よく勉強しよう」
- 堀内美希「お手軽!分散計算プログラミングツール入門」
- 中島 遼「自然言語処理ドシロウト奮闘記」
サイボウズ・ラボユースの合宿は、夏と春にそれぞれ二泊三日で行われます(費用はすべて会社負担)。 各人が自分の課題にひたすら取り組む時間のほかに、一つの課題にみんなでチャレンジするという活動が行われることもあります(バグ探しコンテストなど)。しかし今回の春の合宿は、年度最後の活動ということもあり、朝9時から夜8時過ぎまで、ひたすら自分の課題に取り組む形で行われました。
それぞれが合宿で頑張ったこともあって、成果発表会を無事に終わらせることができました。2期目となった今期のサイボウズ・ラボユースの活動も成功だったと言えるでしょう(詳しくは、第2期サイボウズ・ラボユース成果報告をご覧ください)。
最後に、2012年度のサイボウズ・ラボユース生、3名からいただいた「生の声」を紹介します。これからサイボウズ・ラボユースを目指す方々の参考になれば幸いです。
内田 公太さん:
サイボウズ・ラボユースは僕にとってとても好都合な企画でした。特に「自分の好きなテーマを応募できる」「成果物は全部自分のものになる」「バイト形式なので強制的に作業が進む」という点が良いと思いました。通常のプログラミングのインターンですと、募集テーマが決まっています。それは大体、募集企業の業務だったりするわけです。表向きでは「いい経験ができるよ」と言いつつ、安い人件費で優秀な人を募集し、業務をさせる。ラボユースはそれとはまったく異なり、「お金あげるから何か好きなもの作って」というスタンスです。 僕は、サイボウズのこの姿勢がとても好印象でした。ただ、普通のインターンやバイトとは違うせいで、他人にラボユースを説明することが難しかったですね(笑)。「バイトだけど、自分の好きなことができるバイト」みたいな。また、成果物の著作権が自分に帰属するというのも、僕には嬉しいことでした。この条件があったので、修士論文研究のテーマ(になる予定のもの)をラボユースに出せました。お金をもらいつつ、修士論文研究ができる。なんと幸せなことでしょうか。実際、ラボユースの成果物を引っさげて、「第19回ソフトウェア工学の基礎ワークショップ」(FOSE2012)とか「第54回プログラミング・シンポジウム」(prosym54)で発表させていただきました。FOSE2012では「ライブ論文賞」をいただきました。成果物をオープンソースにしなければならないという条件も、僕には足かせではありませんでした。もともと自分の成果物をオープンソースにしたいと思っていましたので、この条件によって、何の気兼ねもなくオープンソースにすることができました。gitも学習することができて、一石二鳥でした。バイトのように時給形式だったのも良い点でした。熱しやすく冷めやすい僕にとって、週1でも強制的にオフィスに行き、プログラミングする体制になっていると、作業が停滞しにくくてとても良い。そのお陰で、C-Helperのリリースまで漕ぎ着けられたと思っています。
堀内 美希さん:
サイボウズ・ラボユースという制度は、本当にサイボウズにとっては何の利益があるのだろう、と思ってしまうような制度です。ラボユースでは、開発テーマを「自分たちがやりたい!」と思うものの中から自分たちで選ぶことができます。自分の興味に基づいて決めたテーマに沿い、ソフトウェアを開発する際に、知識・経験共に幅広くお持ちのサイボウズ・ラボの社員さんからアドバイスを頂くことができます。こんな素晴らしい環境でソフトウェア開発ができるだけでなく、それによってお金までもらえます。これほど学生にとって嬉しい制度は、他に見たことがありません。私は、自分の都合が合うときにサイボウズ・ラボの勉強会に参加させてもらったり、自身の学会発表の前に発表練習を見てもらったりしました。社員の皆様も仕事が忙しいにも関わらず、快く面倒をみていただき、ありがたかったです。特にメンターの星野さんには丁寧にコードレビューなどしていただき、かなり綿密に面倒を見ていただけました。また、サイボウズ・ラボの合宿は、3日間ずっと朝から晩まで開発を行うストイックな合宿ですが、普段とは違う環境でリフレッシュして開発に集中できるということで、3日間があっという間です。このようにいい所づくめのサイボウズ・ラボユースですが、学生側はラボの方々にいろいろなことをしてもらうばかりでした。非常に感謝してる一方で、これから社会に出る我々が社会を支え、活躍することで恩返しができるのかなと思い、気を引き締めているところです。
中島 遼さん
サイボウズ・ラボユースでは、自然言語処理や機械学習などのテーマ以外から外れている部分、基礎的な開発手法なども教えて頂きました。それどころか、心構え的なところまで教えて頂きました。これまで突っ込んだところでちゃんと技術的なテーマで(あるプラットフォームで開発してみたいなどはありましたが)楽しい、やりたい、と思ったことがあまりなかったので、やっと楽しいものを見つけることができました。この分野で必要なものの中に数学があるとは思うのですが、あいにく僕は数学があまり得意ではないので、数学を勉強するモチベーションにもなるのではないかと密かに期待していたりもします。また、ほかのラボユースメンバー、ラボユースOBの方々や、サイボウズ・ラボメンバーの方々とのコミュニケーションも取れて(人脈、と言ったら変なのかもしれませんが)本当に貴重な経験ができたと思います。ありがとうございます。これで僕のラボユースは終わりですが、これからもこの分野を続けて開発、研究して行きたいと思っています。関係したすべての皆さん、本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします。