“ベストな設計”は1年後どう変わる? kintoneダッシュボード開発の設計判断を振り返る - Cybozu Tech Meetup 開催レポート

こんにちは!開発本部 開発広報チームの北地(@tos_kitt)です。

2026年6月22日、サイボウズ東京オフィスで「42,000社に選ばれるkintone、ダッシュボード開発の“ベストな設計”は1年後どう変わったか」を開催しました。4/8に開催したオンラインイベントの続編です。本テーマを取り上げた背景は、5/7のイベントレポートに記載していますので、ぜひ併せてお読みください。

セッションのハイライト

今回登壇したのは、kintoneのダッシュボード開発副部の谷昌典さんと柿崎美南乃さんです。開発初期の設計判断を振り返りながら、「何が想定通りだったのか」「何が変化したのか」「どのタイミングで見直しに踏み切るべきだったのか」を共有しました。

セッション1:考え抜いた最強の設計が、1年後果たしてどうなったのか答え合わせする

登壇者:谷 昌典(@uta8a

谷さんのセッションのテーマは、kintoneダッシュボード開発における初期の技術的意思決定の「1年後の答え合わせ」です。

セッションでは、「当時最強と考えたアーキテクチャ」が1年後にどう変化したのか、その具体的な舞台裏が紹介されていました。AWS側の都合による急なデータベース構成の変更や、CDKスタック分割時の依存関係にまつわる地道な試行錯誤のプロセスなど、現場の具体的な知見を共有してくれています。最終的に「その時最強と感じた設計よりも、シンプルさや変化を大切にしたい。想定外の出来事は必ず起きるため、変化できる範囲を把握しておくことが大事」という、実運用を経たからこその説得力あるメッセージで締めくくりました。

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セッション2:探索的なダッシュボード開発の未来に備える、フロントエンドのリファクタリング

登壇者:柿崎 美南乃(@hiyoko_coder

柿崎さんのセッションのテーマは、未知の要件が増えていく開発に備え、生成AIの力も借りながらフロントエンドをスケーラブルな設計へ生まれ変わらせた未来に備えるリファクタリングの実践プロセスです。

開発初期の価値探索フェーズでは、あえて顧客用と社内用でコードの重複を許容し、スピードと安全性を優先して仮説検証を進めた背景についての説明がありました。その後、提供すべき価値の方向性が定まった最適なタイミングで「テンプレート駆動」のアーキテクチャへと刷新。JSON形式でグラフの配置やデータを定義することで、少ないコストで柔軟に画面を拡張できる仕組みを構築したとのことです。

特徴的だったのは、大規模なリファクタリングをClaudeとエンジニア2名による「AIモブプログラミング」で進めた点です。AIにまずはPoC(概念実証)を作ってもらうことで当初の考慮漏れに気づくことができ、それを加味した上で本格的なリファクタリング計画を立てて進めていくという、次世代のフロントエンド開発の知見を得られる時間となりました。

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交流会

発表後も、登壇者や参加者同士でディスカッションしました。参加者からは以下のようなコメントが寄せられました。

  • Claude・フロントエンドのスキルアップをしたいメンバー・フロントエンドが得意なメンバーでモブでリファクタリングをするという進め方が新鮮だった。得意なメンバーがいることで、Claudeが生成したコードに対して適切なレビューができるし、スキルアップにも繋がりそう。
  • セッションで紹介されていたリファクタリングを実施したことの価値がよくわかった。探索的な開発がしやすくなるのにはとても価値があると感じた。
  • 自身の仕事でも「求めるもの」と「本当に必要なもの」が異なることがある。ダッシュボード開発でも見せたいデータが先行してしまうことがあり、本当に必要なものを見極める必要がある。
  • 普段、それほど大規模でないケースで仕事をしているため、大規模なデータを扱う際の設計の丁寧さを学ぶことができた。

イベントを振り返って

今回のオフライン開催では、セッションに留まらず、懇親会での交流を通じてそれぞれの現場が抱える実務に根ざした悩みや知見が活発に交わされ、学びを深め合う熱量の高い時間となりました。

また、”ベストな設計” に固執せず、状況に合わせて柔軟にアップデートしていくお二人の姿も印象的でした。外部要因に適応するシンプルさを説いた谷さんや、生成AIを活用し未来を見据えたリファクタリングを完遂した柿崎さん。その過程には、大規模プロダクトを切り拓く面白さが詰まっていました。

この記事を通じて、変化を恐れずしなやかに挑戦するチームの空気が伝わり、皆さまの日々のプロダクト開発の新たな気づきに繋がることを願っています。

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