「サイボウズ・ラボユース合宿2019」開催しました

こんにちは。サイボウズ・ラボの生田です。

湯河原のおんやど恵を会場に、8/26-29の日程でサイボウズ・ラボユース合宿を開催しました。前回から2年ぶりの開催です。今回はその模様をご紹介します。

サイボウズ・ラボユースと合宿の概要

サイボウズ・ラボユースとは日本の若手エンジニアを発掘し、研究開発の機会を提供する制度です。ラボユース生が作りたいものをサイボウズ・ラボの社員がメンターとしてサポートし、開発機材や開発活動に応じた補助金、旅費の援助をします。開発物をオープンソースとして公開するという条件の元で著作権は開発者本人に帰属します。

そして、今回開催したサイボウズ・ラボユース合宿では、ラボユース生とラボメンバーがお互いに交流を深めることが目的です。また、メンターや合宿参加者と集中的に議論ができる場や、集中的に開発できる場をラボユース生に提供することも大きな目的の一つです。

今回の合宿の参加者は、現役のラボユース生4名(内、2名は研究生)、ラボユース卒業生5名、ラボメンバー9名の計18人でした。

1日目

初日は、13時に現地集合。自己紹介からスタートして、それぞれの興味や合宿で取り組む内容などを互いに共有しました。そこからは、晩御飯までもくもく、わいわい各自の取り組みを進めていました。

作業の様子(全景)

ラボメンバー西尾さん持参のRoboMaster S1も軽快に走る
ラボメンバー西尾さん持参のRoboMaster S1も軽快に走る

晩御飯後もしばらく作業を続け、その後は、温泉を満喫したりボードゲームを楽しんだりと、各々自由な時間を過ごしていました。

晩御飯の様子
晩御飯の様子
ボードゲームの様子
ボードゲームの様子

2日目

初日に続き、各自もくもく、わいわい作業を続けていました。ラボユース卒業生がラボユース生にアドバイスする場面や、ラボユース生同士がコミュニケーションをとる場面も多くありました。夕食後には、ラボメンバーの中谷さんによるVR体験会も開かれました。

ラボユース生とラボユース卒業生がディスカッションしている様子

3日目

最終日は、午前中は作業の続きや、合宿での成果発表の準備をしました。

そして、午後から成果発表が行われました。

まずは、現役ラボユース生に発表してもらいました。

西川さんは、機械学習を使った手話認識にチャレンジしています。この合宿では、HighwayNetとResNetをTensorFlowを使って実装する取り組みを行っていました。また、機械学習の勉強のために読んでいる、中谷さんが書いた本の感想も紹介していました。

西川さんの発表風景

平田さんは、C++を使った軽量の暗号ライブラリの開発に取り組んでいます。セキュリティに関する論文を読む取り組みと、実装した楕円曲線のアルゴリズムを高速化するためにメモリ処理を工夫する取り組みを行っていました。合宿期間中は、ラボユース生やラボユース卒業生と活発に交流しているのが印象的でした。

平田さんの発表風景

石巻さんは、完全準同型暗号の研究をしていて、ラボユースではより実装側に踏み込んだ取り組みをしています。今回の合宿では、その暗号を使った新しい取り組みに挑戦していました。今後どういう応用がされていくかが楽しみです。

石巻さんの発表風景

広瀬さんは、x64に対応した自作OSの開発に取り組んでいます。今回の合宿では、PIC(Programmable Interrupt Controller)を用いて、ポーリングで取得していた入力を割り込み式に改良する取り組みと、引数の処理を効率的に行うためコンソール側の処理を改良していました。メンターの光成さんやラボユース卒業生の内田さん、hikaliumさんと積極的に議論しながら作業を進めていたのが印象的でした。

広瀬さんの発表風景

次に、ラボユース卒業生に発表してもらいました。

赤間さんは、プラレールを使った論理回路を実現する取り組みの一環で、掛け算を実現する回路設計に取り組んでいました。レイアウトの省スペース化も同時に考慮していて、発表からもプラレールにかける熱意が伝わってきました。今回設計した成果物は、今年のオープンソースカンファレンスで展示予定とのことです。

赤間さんの発表風景

川田さんは、Rustを使ったデプロイツールIza(イザ)の設計と実装に取り組んでいました。現状のデプロイの方法に不満があって、もう自分で作っちゃえとなって取り組んだということです。個人的にそういうモチベーション大好きです。(発表資料はこちらです)

川田さんの発表風景

坂本さんは、所属しているロケット開発の学生団体で使う、ロケットのシミュレータの実装を行っていました。打ち上げ試験の様子などを動画を使って説明してくれて興味深かったです。

坂本さんの発表風景

緑川さんは、ラボメンバーですが、ラボユース卒業生でもあります。緑川さんは今回、専門であるセキュリティ技術のスキルアップのため、機械学習を使ったセキュリティアタックに関する論文を読み、発表ではその概要の紹介を行いました。

緑川さんの発表風景

内田さんは、自作OSを開発中で、今回はUSBマウス認識やマルチタスク処理の実装を行っていました。カウントアップタイミングの異なるタイマを表示するデモを行っていました。ちなみに、夜は日本酒の飲み比べやボードゲームを楽しまれていて、合宿を満喫されていました。

内田さんの発表風景

hikaliumさんは、自作OSのliumOSのUSBキーボード対応に取り組まれていました。合宿中に1000行近いコードの追加を行って、かなり進捗があったそうです。作業中も内田さんと活発に議論しながら開発に取り組んでいたのが印象的でした。

hikaliumさんの発表風景

さいごに

みなさん、それぞれのテーマを着実に進めていて、年度末開催予定の成果発表が非常に楽しみです。また、ラボメンバーだけではなく、ラボユース卒業生とも交流できるのは、合宿の一つの醍醐味だったんじゃないかと思います(私も良い刺激を受けました)。次回の開催も楽しみです。なお、サイボウズ・ラボユースは通年募集をしています。

集合写真